鈴仙さん？　それともうどんげさん？

＜永遠亭の昼下がり＞

「れーいせんさんっ！」
「なーに、妖夢？」
「ふふふ、呼んだだけです」
「もう、妖夢ったら、ふふっ！」

鈴仙さんの本名は「鈴仙・優曇華院・イナバ」
みんなからは「鈴仙さん」とか「鈴仙」と呼ばれたり、「ウドンゲ」なんて呼ばれてる。
……仮に私が「鈴仙さん」以外の呼び方で呼んだらどうなるんだろう。
興味あるなぁ。
うん、試す価値はありそう。
まずは「さん」をとってみようかな。

「れ、鈴仙……」
「えっ、よ、妖夢……！？ 今、なんて……？」
「鈴仙……大好きよ……」

ええい、呼び捨てのついでに告白しちゃえー！

「……うん、私も大好きよ。妖夢、愛してる……」
「あ、ありがとうございます……」

ひゃっ、抱きしめられちゃったよ。
鈴仙さんの体、あったかいなぁ。
ふふ、呼び捨てはいい感じだったわね。
さて、それじゃあ今度は「うどんげさん」と呼んでみようかな。

「えっと、うどんげさーん！」
「！ その名で私を呼ぶな、消えろッ！」
「あぺばっ！？」

あ、空が……青い空が見える……
そしてドシーンという音とともに私の体は地面に沈んでいた。

「あ、れ……今、何が起きたの……？」
「あ、しまった……つい反射的に……
　よ、妖夢！？ 大丈夫！？ ごめんね、ごめんね！
　今手当てしてあげるから待ってて!」



後に鈴仙さんから聞いた話によると、私は激昂した鈴仙さんに拳で空高く吹っ飛ばされたらしい。
鈴仙さん曰く
「『うどんげ』って師匠に言われるのは慣れてるんだけど、
　それ以外の人に言われると体が拒否反応を起こして勝手に拳をお見舞いする」
ということなんだとか。
……うん、これから間違っても「うどんげさん」なんて言わないようにしよう。

「ごめんね、本当にごめんね、妖夢……」
「だ、大丈夫ですよ。鈴仙さんの膝枕のおかげで、このくらいの痛みなんて吹っ飛んじゃいますから！」

でもこうやって鈴仙さんの膝枕が楽しめるからたまには言ってもいい……かな？
痛いのはごめんだけどね……あいたたた……
うぅ、鈴仙さんの本気のパンチ、ものすごく痛いよ……



今日私が学んだこと。
・鈴仙さんに「うどんげ」なんて言ったら音速のパンチが飛んでくる。
　ついでに口も一瞬悪くなる。
・鈴仙さんの膝枕は柔らかくて気持ちいい。
　もうこの感触を知ってしまったら布団で眠れません！
・鈴仙さんの胸はかなり巨大。膝枕してもらったら目の前に大きいものが……
　えーと、むしゃぶりついてもいいですか？
・なんだかんだで優しい鈴仙さん！　素敵！ 私のお婿さんになってください！