西部紅魔郷 体験版

作品集: 1 投稿日時: 2011/04/01 01:16:32 更新日時: 2011/04/01 01:16:32 評価: 1/4 POINT: 1023331 Rate: 40934.24
乾いた風が、砂塵を巻き上げ運んで行く。
雨が最後にこの大地を潤したのは何時のことだったか。
この辺に住んでいる者に聞いても首を傾げるぐらいには、雨からは縁遠い土地。

だだ広いだけの――植物の一つも生えていない荒野を一人、痩せた馬に乗って行く少女が居た。
砂で汚れたマントを羽織り、強い直射日光を遮っている黒髪の少女。
その痩せすぎとも言える体躯は、一人旅をするには到底似つかわしくなかった。

「街だ」

水筒を傾け、少しばかり残った水を飲み干す。少しばかりの贅沢だ。
思ったよりも寂れた街のようだったが、水を飲むことぐらいには事欠かないだろう。

「はっ!」

鐙を蹴り、馬を走らせる。地平線の先にかすかに見える街目掛けて。



街は閑散としていた。
昼間だというのに外で遊ぶ子供も、それどころか大人の姿すらも見受けることができない。

(聞いていた通りね)

少女は俯きつつ馬を降りた。
まずは酒場を探そう。長旅の疲れを癒さなければ話にならない。



酒場は大した労もなく見つけることができたが、中で飲んでいる者たちの顔は一様に浮かない。
余所者である自分を見る目もどこか厳しいと、少女はマントを深く被った。

「何にするんだい?」
「ミルクを」

昼間から酔っ払うわけにはいかない、本当は酒が好きだけどと、少女はミルクのコップを傾けた。
この街に来た理由は、飲んだくれるためではないのだ。

「ミルク! ルーミア、見てみなよ、こいついい年してミルクを飲んでるよ!」
「そーなのかー」

甲高い笑い声に振り向くと、青髪と金髪の少女が胸を張って立っていた。
この子らを見て、周りの大人たちは声を潜めて何かを喋っている。

「えーっと、なんだっけ?」
「ママのおっぱいでもしゃぶってろ、じゃないの?」
「ああそうそうそれそれ! えーと、ママのおっぱいでもしゃぶってるのがお似合いさ! やった! あたいちゃんと言えたよ」
「そーなのかー」

少女が構わずミルクを傾けていると、二人はその両隣に腰を掛けた。
後ろの連中からは忍びないだのという声が上がっている。

「マスター、こいつにミルクを」
「今飲んでるよ? チルノ、ほかのにしたらどう?」
「だってあたい、ミルク代以外もってきてないし!」
「それ人にあげたら自分で飲めないんじゃないの?」
「うぐぐ……! なんて卑怯な奴! 表に出ろ!」

一人で盛り上がってしまった、チルノは椅子を蹴倒して肩を怒らせている

「可哀想に、あの子死んだね」
「チルノはバカだけど、全世界ナイトメアの中でも腕利きのガンマン(弾幕少女)だからね」

少しでも哀れに思うなら手助けすればいいのに、それができないから荒れているのだと少女はため息を吐いた。

「いいよ闘ろう。決闘方式は?」
「スペルカード戦!」
「いいよ、その勝負乗った」
「ふーんだ! ほえ面かかせてやる!」

意気揚々と店を出て行くチルノとルーミア。
少女はミルク代を払おうとして、マスターに断られた。

「あの二人も本当は悪い奴らじゃないんだ。どうにか目を覚ましてあげてくれないかな? そしたらヤツメウナギを奢ってあげるから」
「友達思いなんだね、わかったよ」
「あんた、名前は?」
「私? ……人は私を、ホワイトスピリットって呼ぶよ」
「ふぅん……どこかで聞いた名前だね。私の名前はローレライ、あんたのために、テキーラを作って待ってるよ」
「それじゃあ負けるわけには、いかないね」

少女は椅子から降りると、マントを脱いでそれをローレライへと渡した。

「それを着てると、打ち合いが上手くできなくってしょうがないから」
「う、うん……」

少女の服は、ここらへんでは滅多に見ることができない珍しい物だった。

「あれは、ジャパンのMIKO服ね……。こんなところで見るだなんて」
「知ってるの姉さん」
「ミノリ、もしかすると、あの人が……。ううん、考え過ぎよね」

少女はざわめく人々を背にして、酒場の前へと赴いた。
既にチルノのほうは準備万端で、スペルカードを構えている。

「スペルカードはお互いに三枚! 破られたら大人しく負けを認めること!」
「私はこれ一枚でいい」
「むきー! バカにしてるのかー!」
「なのかー」

その言葉に意を介さず、スペルカードを構える。

「黙ってかかってきなさい。時間の無駄だから」
「くそー! 『アイシクルフォール-Easy-』」

チルノの周りに氷柱が多数形成され、空間を食い合うように狭まっていく。
しかし少女は氷柱に臆することなく、ゆっくり歩を進めて行った。

「正面安置」
「ち、ちくしょー!」
「『夢想封印』!!」

宣言した少女の周りに光球が浮かび上がり、チルノの身体へとめり込む。

「ぐへぇーっ」

たちまちノックアウトしたチルノは、目を回して口から泡を吐きだした。

「負けたのかー。じゃあ帰ろうっと」

立会人を務めていたルーミアは、そのままふらふらと歩いていった。
2年半ぐらい前のものだと思います。
パソコンから出てきたから
作品情報
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投稿日時:
2011/04/01 01:16:32
更新日時:
2011/04/01 01:16:32
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3. 1000000 名前が無い程度の能力 ■2011/04/01 19:44:19
飲まないでまっすぐ歩けるのか?w
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