こだまでしょうか、いいえじゃれあいです。

作品集: 1 投稿日時: 2011/04/01 01:16:25 更新日時: 2011/04/01 01:16:25 評価: 2/3 POINT: 2007777 Rate: 100390.10

 

分類
ユキ
マイ
4月1日
 「遊ぼう」っていうと、
 「……遊ばない」っていう。

 「馬鹿」っていうと、
 「……馬鹿じゃない」っていう。

 「もう遊ばない」っていうと、
 「……じゃぁ遊ぼう」っていう。

「こだまじゃないじゃん」
 ユキは頭を抱え込んだ。
「……いいえ、こだまです」
「違うから! 私とマイが言ってること正反対だから!」
 マイがひねくれていることなんて、前からユキはわかっていた。
 ついでにいうと、口ではそう言いつつも、なんだかんだでマイはユキのことを信頼してくれていることもユキはわかっていた。あくまでユキ視点であるが。マイが本当のところどう思っているかはお察しください。
「……それで、今回はどういう吹き回しなの。アリスは今年は帰ってこないわよ」
「神綺様の落ち込みっぷりといったら、半端じゃなかったね」
 「アリスちゃぁぁぁぁぁん」とパンデモニウムの方から聞こえた気がしたが、ユキマイは無視することにした。
「何かネタ無い、マイ?」
「……去年みたいにユキがルイズ姉さんに騙されてくれたらお話はできるんだけど」
 「正直者には祝福を」、とマイはつぶやいた。宣伝ありがとう。
「ないない。私は学習したの」
「何を?」
「嘘ついてみんなを困らせるくらいなら、嘘なんか吐かないほうがマシだって」
「……ふーん」
「そうだ。じゃぁその線で遊んでみよう!」
「は?」

 * * * 

 東方広告機構啓発CM。
「ねぇ、マイ」
「……何、ユキ」
「私のことどう思ってる?」
「……足手まとい」
「…………」
「…………」
「……ひっく、うぇ」
「ちょっと、ユキ。どうしたの」
「だ、だって……ひっく、マイが私のこと……足手まといだって言うから……ふぇぇぇ」
「ちょっと……」
「もう、マイなんて嫌いだぁぁ!」
「えっ」
 安易な嘘で大切にしていた絆が壊れてしまうこともあります。
 エイプリルフールは、『ちょっとした嘘を吐いてもいい日』。どうか楽しい、エイプリルフールを。

 * * * 

「……何これ」
「エイプリルフールの啓発CMだよ」
「……どう見ても、ユキを泣かせて読者に媚びようとしているしか思えないんだけど」
「違うよ、マイ。作者が単に泣きユキを見たかっただけだって」
「……単細胞」
「もうマイったら。そんな毒ばっかり吐いてたら、愛想つかれちゃうよ」
「……いや、別に私、読者にどう思われようが構わないし」
「そんなこと言わないでよ」
「……ところで、この収拾がついてないショートストーリー、いったいどうやって締める気なの」
「え、まだ終わらないよ」
「……本当に?」
「次はこれを流してくれって作者が」
「……何様のつもりかしら」

 * * * 

 その日、魔界は阿鼻叫喚の地獄と化した。
「アリスちゃぁぁぁぁぁん!」
 アリスに会えないばかり泣き狂う魔界神。
「神綺様、今日という今日は許しませんからね!」
 魔界神をとがめる容赦ないメイド。
 紅白の巫女と紫の魔法使いはその隙を見逃さなかった。
「今こそ」
「魔界を」
『制圧する!』
 だから。
『待って!』
 私達は立ち上がる!
「私は真紅の魔法使いユキ! その悪行はしかと見届けたわ!」
「私は氷雪の魔法使いマイ。……めんどくさ」
『二人合わせて――魔法少女ミスティックスクエア!』

 * * * 

「……いや、待って。いくらなんでもこれはやばい。意味がわからない」
「意味なんていらないんだよ。魔法少女はノリだよ、ノリ」
「いや、違う。これは……」
「どうしたのマイ。冷や汗なんかかいて」
「……私達二人が主役に見えない。どう見てもこれはやられ役だわ」
「い、言われてみれば確かに」
「……これはダメね。所詮、僕と契約したところで、4面ボスとしての運命は変えられない」
「うん、意味がわからないわ」
「……そろそろ終わりにしない、このショートストーリー」
「うんそうだね、終わりにしよう。いつのまにかト書きさえどこかへ行ってしまったみたいだし」
 あたしゃここにいるよ。
「……あ、いた」
「なんだか寒気がしたのは気のせいかしら」
「……気のせいじゃない」
「ねぇ、マイ」
 今までテンションが高かったユキが急にしゅんとなった。

「やっぱりアリスが居た方が何倍も楽しいね」

 ユキとマイは二人して思い出す。去年の春はルイズに振り回されたが、それはアリスが帰ってくるからといってみんな浮かれていたから。その夜の花見は本当に楽しくて仕方が無かった。
 そしてその前、春がなかなかやってこなかった折に、幻想郷のアリスを訪れた時だってそう。
「やっぱり家族だもんね。また会えるとわかっていても……早く会いたいって思っちゃうものだね」
「……そうね」
 二人してアリスを思い、二人して柔らかな笑みを浮かべた。
 ――こだまのように。

「でさ、マイ」
「……え、今ので上手く締めたと思ったのに。まだ続くの?」
「ううん。一言だけ」
 にこぉっと笑ったユキにマイはなぜか戦慄を覚えた。
「私のことどう思っているの?」
 今日はエイプリルフール。“ちょっと”した嘘を吐いてもいい日。
 ちょっとかどうか、それは受け手次第――。
なんでも書いていいということで1年ぶりに登場してみました。
ユキマイが書きたかったからといって、さすがに脈絡なさすぎだろう、常識的に考えて。
九紫楓
作品情報
作品集:
1
投稿日時:
2011/04/01 01:16:25
更新日時:
2011/04/01 01:16:25
評価:
2/3
POINT:
2007777
Rate:
100390.10
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0. 7777点 匿名評価
1. 1000000 名前が無い程度の能力 ■2011/04/01 01:24:50
泣きユキかわいかったです!
2. 1000000 奇声を発する(ry ■2011/04/01 01:31:41
可愛いですねぇ…何だか落ち着くw
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