「う、嘘だけど、おいしい!」
「ああ、こんなの食べたことないぜ! 嘘だけど」
「ふふ、ありがとう」
口いっぱいに料理を頬張る霊夢と魔理沙を見て咲夜は微笑んだ。(嘘である)
「口に入れた瞬間、ふわっと抜けるバジルの香りと濃厚なチーズの味わいがトマトソースと上手く絡まって、もちもちのパスタを最大限に活かす味付けになってるな……! 嘘だけど」
「ええ、ほんと。味はかなり濃いのに、いくら食べても全然飽きない。嘘だけどね」
「そう言ってもらえると嬉しいわ。嘘だけど」
霊夢と魔理沙は紅魔館で咲夜の振る舞う手料理に舌鼓を打っていた。もちろん嘘であるが。
色々とレパートリーが増えたので、レミリアに出す前に試食してもらいたいと咲夜が持ちかけたためである。嘘だが。
もちろん霊夢も魔理沙も、咲夜の誘いに飛びついた。咲夜の料理の腕は誰もが知るところである。嘘だ。
「さ、まだまだ続くわよ。嘘だけど。次はスープ。カボチャのポタージュを作ってみたの。嘘だけど」
咲夜はテーブルにスープを置く。嘘ではあるが。霊夢と魔理沙の目の前に甘く優しい香りが漂う。嘘だからしょうがないが。
「おー、いい香りだぜ。嘘だけどな」
「いただきまーす。嘘でごめんだけど」
スプーンでそれを掬い、口に含む。嘘嘘。カボチャの自然な甘みと、コンソメの微かな塩味が二人の頬を緩ませる。はいはい嘘嘘。とろりとまろやかな嘘それはじわじわ嘘嘘とゆっくり口の中に嘘がりまるで嘘のような嘘わいを二人の胃まで届けて嘘くれる嘘。
「どうかしら嘘?」
「嘘嘘嘘うん、甘味と塩味、逆の味わいなのに上手く合わさってうっそーん見事な嘘デス」
「嘘! 嘘嘘!」
「嘘嘘嘘!」
「嘘嘘嘘! 嘘嘘嘘!」
「嘘ー! 嘘ー!」
嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘。
全部嘘だったのだ。
- 作品情報
- 作品集:
- 1
- 投稿日時:
- 2011/04/01 00:42:01
- 更新日時:
- 2011/04/01 00:51:43
- 評価:
- 2/14
- POINT:
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