Coolier - 早々思いつかない話

嘘をついたらWedding Night

2020/04/01 18:35:44
最終更新
サイズ
14.93KB
ページ数
1
閲覧数
573
評価数
3/3
POINT
37037037
Rate
1851853.10

分類タグ

「そういえば私、エイプリルフールで嘘ってついたことない?」
 四月一日当日、不意にそんなことを考えてリグルは首を傾げた。
 元々、リグルは別に聖人君子でも何でもないごく普通の妖怪だ。シャレはわかるしイタズラにも手を出す。人間を脅かすことだってある。
 ただ、友達のみんなと一緒にいる時は周りの妖怪や妖精の破天荒ぶりに付き合うことが多く、やや受け身になりがちな傾向はある。
「よし、じゃあ今日は嘘をついてみよう」
 思い立ったが吉日、善は急げだ。善だろうかこれ、細かいことはどうでもいいさ。
 ちょっぱやで飛んで行った先は風見さん家。気になるあの子を連れて行こう。
「おはよう幽香、今ひまー? 暇ならちょっと来てくれない?」
「あなた、私が大妖怪だってこと結構な頻度で忘れてない?」
 慕われるのは嬉しいけど、なめられるのは許せない。風見幽香は微妙なお年頃なのだ。「何百歳ですか」とか言ったやつ、屋上な。
「忘れてないよー。で、暇? 無理なら他の子に頼むけど」
「他の子でもいいならそうしなさいよ、なんで私なの」
「幽香が一番インパクトあるかなって」
「? まあ、私である理由がちゃんとあるならいいけど」
「あるある、ちゃんとあるよ」
「じゃあいいわ。何やるか知らないけど、連れて行きなさい」
 なんだかんだで面倒見の良い幽香。言われるままにリグルについて行くことに。
 二人連れ立って幻想郷のあちこちを巡り、知ってる人妖たちに声をかける。
 そしていつものように博麗神社に集合すると、いつものように宴会が始まった。桜が咲いているんだもの、仕方ない。
「で、今に至って私は何も聞いていないんだけど……何するつもりなの、リグル」
「大丈夫、すぐ済むから。はーい、みんなちゅうもーく」
 さて何が始まるのかと、全員がリグルと幽香に視線を向ける。
 みんなが注目する前で。
 リグルは幽香の手を取って。
 突然のぬくもりに、幽香が一瞬固まり。
 幽香が固まっているその隙に、声を張り上げて、リグルは言った。

「私たち、結婚しました!」

 その瞬間。
 その瞬間。
 その瞬間、全てが一瞬で切り替わった。リグルたちの目の前にあった風景は全てが色を変え、形を変え、場所を変え、時を超え、しかし集まっている面々はそのまま、酒を手にしているのも何故かそのままに、博麗神社があった位置にはどこから現れたのか白亜の建造物が設立されており、その建物は上品でありながら荘厳な佇まいで訪れるもの全てを祝福するようで、何を祝福するのか、誰が祝福されているのかというと。
 決まっている。
 その建造物の正面に立っている二人。
 ウェディングドレスに身を包んだ、リグルと幽香の二人に他ならない。
「ええ。私たち、結婚するわ!」
「――――?????」
 あまりに突然のことに、リグルはフリーズした。純白を基調に薄い黄緑の意匠を凝らしたウェディングドレス姿で間抜け面になるリグルもそれはそれでキュートではあったが、しかし今の状況において可愛さは何の役にも立たない。でもそんな可愛いリグルがみんな大好きなんだ。当然幽香もリグルが大好きだ。そんな幽香のドレスは、薄い黄色の布地に色とりどりの花飾りをつけた華やかなものだった。
 固まっているリグルの手を取り、幽香は建物のほうへと歩を進めた。
 白亜の建造物――それは、結婚式場だった。
「え……ちょ、幽香、これ……え、何これ……?」
「ふふ、ドレス、似合ってるわよリグル。とても綺麗だわ」
「あ、ありがとう……ドレス? 綺麗? 私これ、なんでドレス姿?」
 どういう状況なのか一切わからず混乱しっぱなしなリグルを連れて、幽香は式場に入っていく。堂々と、何の迷いもなく。
 幻想郷ではあまり馴染みの無い洋式の結婚式場。
 正面には神父の姿があった。何故か神父役はルーミアだった。神父服ルーミアはなかなか可愛かった。
「汝病める時も健やかなる時もお互いを愛し合うことを誓うのかー? まあでも私たち妖怪だし、神様に誓うのは何か違う気がするな。よし悪魔に誓え」
「ええ、誓うわ。ほら、リグルも」
「は、はい誓います」
「じゃあ次は指輪を交換だ。本当にこの順番でいいのかわかんないけど、善は急げって言うしさっさとやっちゃえばいいのだ」
 口から出る言葉は相当怪しいのに、なぜか結婚式の進行はてきぱき進めるルーミア。
 ――ルーミアの進行の甲斐もあり、結婚式は滞りなく進められた。
 祝福を。彼女らの未来は、幸福に満ちている。
 参列者も結婚式場のスタッフも、皆が今日の主役にお祝いの言葉を贈る。
 順風満帆とはまさにこのこと、誰も疑問に思うことなく、全てが予定通りであるかのように進められた。
 何もわからないままなのは、リグルただ一人だけだった。

 /

 そして、ホテルの一室にたどり着いたところで、リグルはようやく我に返った。
「これどういうこと!?」
 全身全霊のツッコミ。しかし、それに答える幽香は泰然自若としていた。
「どうって、これから結婚初夜でしょ」
「しょっ……!? しょや、初夜って何!?」
「リグル、あなた生殖行為についての知識が無いわけじゃないわよね? 蟲の妖怪としてそれはありえないわよ」
「知ってるよ! そうじゃなくて、なんでこんなことになってるのって話!」
 事ここに至っても、リグルは未だに理解が追い付いていなかった。結婚式を終え、ホテルで幽香と二人きり、どうしてこんなことになったのか。
「だってあなた、結婚したって言ったじゃない」
「いや……幽香には言ってなかったけどあれは、エイプリルフールの嘘で」
「あの瞬間、私たちは別の世界へと飛んだのよ」
「世界移動!?」
 そんなさらっと言われても。
 道理で一瞬で別の場所になったと思った、いやそんな簡単に納得できる話なのかこれ。
「そうね、別の世界と言っても、元いた幻想郷とそこまで変わらないと思うわ。ちょっと建物が立派だったりとか、外の世界っぽさがある気はするけど、ここが幻想郷であることには変わりないの。言うなれば、ここは『ありえたかも知れない、別の幻想郷』でしかないのよ」
「いや、そんな『こんなもんよね』みたいに平然と言われても困るんだけど……なんで幽香はそんな普通にしてるの?」
「リグルは私という妖怪を甘く見ているわ。ちゃんと周りを見て、世界を感じるだけでいいのよ。それで大体のことは把握できるの」
 幽香は「甘く見ている」という言葉を使ったが、厳密に言うと「そんな次元の話は今のリグルには想像もできない」という方が正しいだろう。逆立ちしたって今のリグルには幽香と同じ真似はできない。「幽香ってすごいんだなぁ」ということしか理解できなかった。
「それに、私が平然としているのにはもう一つ理由があるわ。だって、この世界には私の意思で来たんだから」
「え?」
「自分でも、こんなことができるなんて思ってなかったのよ。私は所詮は植物を操る程度の、ちょっと妖力が桁違いな程度の、ちょっと幻想郷でも最強の妖怪でしかない、そう思ってたんだけど……驚いたわ。自分の可能性を思い知らされた。ありがとう、リグルのおかげよ」
「ど、どういう」
「私たち、今まではいい友達だったわ、そう思ってた……たまにドキっとさせられることもあるけど、まだまだ恋人になるには程遠い、でもいつかそうなることもあるかも知れない、そんなごく普通の友人関係だと思ってたわ。でも、リグルの結婚宣言を聞いた時――自分でも驚くくらい、それに納得しちゃったのよ。『当然そうであるべきだ』って思ったの。
 そうしたら――自然と、世界を越えていたわ」
「なんで、そんなことに」
 混乱冷めやらぬ頭で、リグルは必死に考える。
 自分の嘘が幽香に衝撃を与えた。そこまではわかった。幽香がそれに「納得」してしまったというのも――にわかには信じがたいが、理解はしよう。
 しかし、それがどうして世界を越えることに繋がるのか? そこがどうしてもわからない。
「まだわからない? 簡単なことよ、凄く簡単なこと」
 小さい子に教えるように、優しい言葉で幽香は告げた。とても綺麗な笑顔だった。
「ここはね。風見幽香とリグル・ナイトバグが――私たちが結ばれた世界なのよ」
 つまり。つまり何か。幽香はこう言うのか。
「わ、私と結婚するために――もっと言うと『結婚したという事実にする』ために、『結婚した世界』に飛んできた、ってこと!?」
「そうよ」
 そんな馬鹿な、一足飛びにも限度があろう。
 しかし確かに、そう言われてみれば――この世界は何もかもが出来すぎだった。二人にぴったりのウェディングドレス、最初から予約済みの結婚式場、二人を笑顔で祝福する顔見知りの人妖たち……全てがリグルと幽香の結婚を肯定していた。誰も疑問に思っていなかった。心から、二人を祝福していた。
「そんなことしなくても、ちゃんと恋人として付き合い始めるとか、その前にお友達付き合いから徐々に距離を縮めていくとか、そういうことをちゃんとしてからで良かったじゃない!」
「私だって、もしかしたらそんな未来もあるかもと思ってたわ。でも……でも、リグルの『結婚しました』って言葉を聞いたら……『あ、私たち結婚したんだな』って納得したの。自分の世界が完全に変わっちゃったのよ。
 なら、世界の方を変えるのは当然でしょう?」
 あくまでも穏やかな笑顔で、じりじりとリグルににじり寄る幽香。
「ゆ、幽香。なんで近づいてくるの?」
「言ったでしょう? 結婚初夜よ」
 反射的に後ずさるリグルだが、逃げ切れる気が全くしない。
 そのリグルのすぐ後ろには、大きなベッドがあった。
「ま、待って待って、私、まだ納得してなんて――」
「リグル、気が付かなかったかしら? 私たち、結婚式を挙げたのに――誓いの口づけはまだしてないの。どうしてだと思う?」
「わ、わかんない、わかんないけど本当にちょっと待って――」
「それはね。今この瞬間、リグルの全てを私の物にして、私の全てをリグルに捧げるためよ。全部、一息にやってしまいたかったの。この一夜だけに、全ての幸福を凝縮してしまいたかったのよ」
 それを聞いた瞬間――リグルの心は、絶望に落とされた。
 風見幽香は止まらない。こんなにも覚悟の決まった幽香を、リグルは見たことがない。
「わかってくれ、なんて言わないわ。今この瞬間にわかる必要なんて無い――リグルはただ、身を任せてくれればいいの。
 全部、私がわからせてあげるわ」
 リグルが、幽香に押し倒される――その所作はあくまで優しく、ゆったりとしたものだった。
 幽香は笑顔だ。慈愛に満ちた笑顔が、あまりにも美しく、そして恐ろしい。
 納得なんてできない、だけど――抵抗することも絶対にできない。
 全てが、幽香の意のままに終わろうとしていた――その時。

『待ちなさい、そんなこと、私が許さないわ』

 声が、どこかから聞こえた。
 聞こえた瞬間、リグルは混乱した。それは、目の前にいる幽香もそうだったらしい。怪訝な表情で周りを見渡す。
 怪訝に思うのも当然だ――今のは、よく聞き慣れた今の声は。

『許さない、と言ったのよ――リグルと結ばれるのは私よ、あなたじゃない!』

 怨嗟に満ちた声と共に。
 空間に亀裂が走った。
 バキバキと、音を立てながら――スキマ妖怪でもないのに、空間に手をかけて、力ずくで。
 亀裂を裂いて、次元の壁を越えて、現れたのは。
 まぎれもない、風見幽香の姿だった。
「ゆ、幽香……!?」
「私だけじゃないわ、リグルもここにいるわよ」
「いまーす」
 空間を裂いてきた幽香の背中に、リグルがおんぶされる格好で引っ付いていた。
 どういうわけか、幽香とリグルが二人ずつ揃った形になる。なんとややこしい。
「え、えーっと、急に出てきたけど、どういうこと?」
 と疑問をぶつけるのは、今まさに幽香に押し倒されているリグル――便宜上、リグルAとする。
「見ての通り、幽香が世界の壁を裂いてくれたの。おかげで戻ってこれたよ。流石幽香だよね、もうなんでもありって気がしてきたよ」
 と平然と答えるリグルB。
「そう、戻ってきたのよ……いきなりでびっくりしたのはこっちよ。今まさに結婚しようとした瞬間、博麗神社の境内で四月馬鹿やった瞬間になってたのよ? わけわかんなかったわよ」
 そうぼやくのは、空間を裂いて現れた幽香Bである。つまり幽香BとリグルBは、元々この「幽香とリグルが結ばれた世界」にいた幽香とリグルというわけだ。
「ふ……けど、戻ってきてどうしようって言うの? もう結婚式はやっちゃったし、私とリグルは今から結ばれるのよ」
「あ、幽香まだ全然諦めてない!? これでお互い元の世界に戻ろうとか、そういう話にならないの!?」
 言葉の通り、幽香Aは未だにリグルAにのしかかったままで動こうとしていなかった。幽香BとリグルBが見ていようと、お構いなしに結ばれるつもりなのだ。
「ふざけるな……私が何年かけてリグルと付き合ってきたと思ってるの!? この子本当に恋愛ごとにはうぶで、結婚までこぎつけるの無茶苦茶苦労したのよ!
 いきなり世界取り換えられて、結婚の瞬間を横からかっさらわれて、私が納得できるわけないでしょうが!」
「何をそんなに怒ってるの、そっちはそっちの幻想郷で改めてそっちのリグルと結ばれればいいだけじゃない」
「結婚という結果だけ持っていこうとするあなたが気に食わないと言ってるのよ! それは私とリグルのものよ、いくら私自身であろうと、横から奪っていいわけないでしょう!」
「はっ――私のくせに何を甘っちょろいことを。奪える時には奪うのが私よ、そっちの意思なんか関係ないわ!」
 喧々囂々と言い争いを始める幽香Aと幽香B。
 ぱっと見には滑稽にも見えるかも知れないが、幻想郷最強級の二人の争いだ。しかも、つい今しがた、世界を渡る力まで手に入れたばかりである。
 このままではどんな未曽有の大災害に発展するかわかったものではない――しかし。
 しかし、リグルに何ができるというのだろう。仮に結婚したとしても、幽香に敵う力なんて――
「そういえば、ねえ、私」
「ん、何、私?」
 リグルAがリグルBに話しかける。リグルAのほうは幽香Aにのしかかられたままなので、こっちはこっちで滑稽な絵面である。
「そっちの私は、幽香と結婚するとこだったんでしょ? 幽香と同じくらい強くなったとか、そういうことはあるの?」
「あはは、無い無い。私は私だよ、幽香には全然敵わないよ」
 けらけらと笑うリグルB。
 実際、リグルAから見ても、リグルBはそんなに強そうには見えない。よく見るとちょっと大人っぽくなったかも、という風に見えなくもないけど、あくまでその程度だ。私は私、というのがしっくり来る。
「強くないのか……でもその割に、なんか落ち着いてない?」
「んー……まあ、慣れたのはあるかな。幽香にずっと付き合ってて、幽香がどれだけ無茶苦茶するかとか、色々身に染みたっていうか」
「す、凄いね。幽香のレベルで無茶苦茶されると、私じゃついていけなくない?」
「ところが案外何とかなっちゃうんだよね。自分なりの適応能力が身に付いたっていうか……うん。幽香のこと、ちゃんと見てたから。どんな無茶苦茶をやるかわかってれば、案外何とかなっちゃうんだ」
「へぇ。ちゃんと、見てたから……」
「うん。結婚するんだから当たり前かも知れないけど、あのね――」
 そこで、リグルBが一瞬だけ言葉を切った。
 少し恥ずかしかったらしい――それでも、その言葉を迷いなく口にする。
「たぶん、この幻想郷で一番幽香のこと理解できてるのって私だもん。それだけは誰にも負けないから……どんな無茶苦茶だって、私にとっては、一番好きな相手のやることだから、それを受け止めるのは、私の役目だと思うんだ。
 それに――逆に、私のことを一番わかってくれてるのも幽香だから。なんだかんだ、無茶苦茶やる時も、私のこと見ててくれてるんだよ?」
 はにかみ笑いで告げた、その言葉が。
 幽香Bの勢いを、完全に寸断した。まるで石像のようにぴたりと静止してしまい、顔を真っ赤にしてしまう。
 ぎぎぎ、と幽香BがリグルBに顔を向ける。羞恥心と喜びに染まった顔に、大妖怪の威厳は全く無かった。
「あ、あなたね、そんな、不意打ちで惚気るのやめなさいよ」
「だってー、私だってこれから結婚するの嬉しいんだもん。自分自身が目の前にいたら、少しでもこの喜びをわかってほしいでしょ?
 私は幽香と結婚できて幸せだし、これからもっと幸せになるつもりだよ。それは、誰にだって胸を張って言っていいと思うな」
 リグルBが惚気て、幽香Bが羞恥に染まるその一方で。
 さっきまで言い争っていた幽香Aは、きょとんと呆気にとられていた。何を言えばいいかもわからず、リグルBと幽香Bの様子を見ていることしかできない。
 リグルAは。
「よいしょっと……ねえ、幽香」
 幽香Aの下から抜け出して、のんびりと立ち上がっていた。
 幽香Aもそれを咎めない。その顔は――笑顔ではなかった。何か、大事なものに気付こうとして、思慮を巡らせている顔だ。
 そんな幽香Aと正面から向かい合って、リグルAは言葉を紡いだ。
「あのね、私、まだわからないけど……もしかしたら、今ここで幽香と結婚すれば、幸せになれるのかも知れないけど。
 でも、もし幸せになるとしても……私は、自分で幸せになりたい。きっと、その方がもっと幸せだと思うから。
 だから、もし幽香と結婚するとしても……やっぱり、私たちの世界で、ちゃんと最初から始めよう?
 本当に幽香と結婚できるかどうか……それどころか、幽香のことを好きになれるかどうかも、幽香が私のことを好きになってくれるかどうかも、まだわからないけど」
 リグルAが手を差し伸べる。幽香Aへと。
 二人がそうしようとすれば、邪魔するものは何もない。いつだって、手を取り合うことはできるのだ。
「まだわからないけど――だったら、二人で一緒に、わかり合えばいい。
 だから一緒に帰ろう、幽香。帰って、もう一度、お友達から始めよう?」

 /

 四月二日。
 昨日、博麗神社で結婚宣言を聞いた人妖たち全員に、一通の手紙が届いた。
 差出人は幽香とリグル。文面は短く。
「結婚したというのは嘘でした。私たち、恋人になる前のお友達付き合い始めました」
 受け取った面々は全員、同じようにため息をつき、こう思ったのだとか。
 ――どうぞお幸せに、勝手にやってろ。
軽い気持ちで書き始めたら、思いのほか幽香さんが暴走してしまってまとめるのに難儀しました。
しかし、これは相手が幽香だったからまだこの程度で済んだのかも知れません。リグルが嘘を言う相手がヤマメだった場合、一気にヤンデレ化して拉致監禁ルートも充分ありえたのではないかと思います。
読んでいただきありがとうございました。少しでも楽しんでいただけていれば幸いです。

[email protected]
http://weeklywriggle.blog.fc2.com/
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.簡易評価なし
1.12345679虚無太郎削除
これは面白い、たいへんきれいにまとまっています。
幽香さんドライヴしてますねえ
2.12345679瞬間不名誉西方名君削除
ギャグかと思ったら最後の選択にほろりとしました テンポがよくて特に爆速祝福で笑いました どっちの世界でも幸せに爆発しててほしい
3.12345679サク_ウマ削除
発想のネジがぶっ飛んでる。こんなぶっ飛んだ話なのになんで綺麗にオチてるんだ……
お見事でした。素晴らしいと思います。