ある日、幻想郷は二つに割れてしまった。
割れたというのは隕石が墜ちて、天比那名居天子が地震で地表を真っ二つにしたわけでなく、正確ではないけれど二つの種族、派閥に幻想郷は割れた。
少なからず中立の人もいた。上白沢慧音は中立の代表としてこの争いを治めようと必死だった。
幻想郷の賢者たちも気にも留めていなかった。幻想郷においてはどちらとも欠けてはならない。二つで一つ。焦ることは無い。いずれはどこかで終止するだろう。そう傍観していた。
そもそも最初は何も争っていなかった。
きっかけはとても些細なことで、人里の酒場で、妖怪たちの集まる屋台で
「どちらが上なのだろうか」
最初は酒の肴、いわゆる場を盛り上げる一つの余興として、しかし、いつのしか議論は白熱して「こちらが上だ」「こっちが優秀に決まっている」
双方譲らず、とうとう一線を越えてしまった。
混乱は次第に大きくなり、ついには人里で犠牲者を出してしまった。
もはや為す術もなく、幻想郷は二つに割れてしまった。
二つに割れた互いの陣営は「どちらが優秀か、そして相手をいかに潰すか」そのことに熱心だった。
行動が早かったのは霧雨魔理沙だった。河城にとりや妖怪の山一派の協力を得て、ミサイルというものを作り出した。遠距離にいる相手を一網打尽にできる兵器だ。
その情報を掴んだ射命丸文は妖怪の山を裏切って蓬莱山輝夜達の元へ走った。
文曰く「あんなわからず屋達にはもう付き合っていられない」らしい。
情報を元に輝夜は小野塚小町の協力を仰ぐ、小町は二つ返事で返した。自らの距離を操る能力を上手く使うことでミサイルの軌道を逸らすことに成功した。
もう歯止めは利かなかった。今度はこちらの番だ、とお互いに持てる技術を最大限に引き出して相手の陣営をできるだけたくさん、苦しませて、減らすことに力を注いだ。
人妖問わず多くの血が流れ、いつの間にか幻想郷は人妖の住める環境では無くなった。どちらが持ち出したのか核兵器の汚染で呼吸もできない。犠牲者、生き残り、その数を把握することも何があったのかすらも分からない。
僅かながらの人妖達は最初からどちらの陣営にも立たず中立もせず無関係を貫き通した地底へ命からがら生き延びた。
幸い、汚染の影響を地底は受けなかった。
しかしながら当事者あったにとりも輝夜も、中立の慧音と協力していた妹紅も口を閉ざしている。いつしかそんな出来事を語る人妖はいなくなった。
幻想郷は滅んだに等しかった。
霊夢は飛び上がって起きた。
眩しい、お天道様はいつも通りのぼっている。
空気も吸える。いつもの平和な幻想郷だ。
まさかお昼寝でこんな悪夢を見るとは、幻想郷が滅びる夢だなんて縁起の悪い。
気分転換、そしておやつの時間なのでお茶を淹れて箪笥からとっておきのお菓子を引っ張り出す。
『たけのこの里』
この前、人里で薬売りをしている鈴仙から1つ貰った。
案内に沿って箱の『あけくち』からぺりぺりめくる。
中の袋を開け、たけのこを一つ口にする。
クリーミーで程よいチョコにサクッとしたクッキーがチョコの甘さを引き立てる。
これはなかなか、お茶請けにちょうど良い。また鈴仙から貰うとしよう。
何気なく箱を手に取り外装を眺めていると魔理沙がやってきた。霊夢が挨拶すると魔理沙は1つの箱を差し出した。
「よっ霊夢、今日はおすすめのお菓子を持ってきたんだ。きのこの山って云うんだが――」
割れたというのは隕石が墜ちて、天比那名居天子が地震で地表を真っ二つにしたわけでなく、正確ではないけれど二つの種族、派閥に幻想郷は割れた。
少なからず中立の人もいた。上白沢慧音は中立の代表としてこの争いを治めようと必死だった。
幻想郷の賢者たちも気にも留めていなかった。幻想郷においてはどちらとも欠けてはならない。二つで一つ。焦ることは無い。いずれはどこかで終止するだろう。そう傍観していた。
そもそも最初は何も争っていなかった。
きっかけはとても些細なことで、人里の酒場で、妖怪たちの集まる屋台で
「どちらが上なのだろうか」
最初は酒の肴、いわゆる場を盛り上げる一つの余興として、しかし、いつのしか議論は白熱して「こちらが上だ」「こっちが優秀に決まっている」
双方譲らず、とうとう一線を越えてしまった。
混乱は次第に大きくなり、ついには人里で犠牲者を出してしまった。
もはや為す術もなく、幻想郷は二つに割れてしまった。
二つに割れた互いの陣営は「どちらが優秀か、そして相手をいかに潰すか」そのことに熱心だった。
行動が早かったのは霧雨魔理沙だった。河城にとりや妖怪の山一派の協力を得て、ミサイルというものを作り出した。遠距離にいる相手を一網打尽にできる兵器だ。
その情報を掴んだ射命丸文は妖怪の山を裏切って蓬莱山輝夜達の元へ走った。
文曰く「あんなわからず屋達にはもう付き合っていられない」らしい。
情報を元に輝夜は小野塚小町の協力を仰ぐ、小町は二つ返事で返した。自らの距離を操る能力を上手く使うことでミサイルの軌道を逸らすことに成功した。
もう歯止めは利かなかった。今度はこちらの番だ、とお互いに持てる技術を最大限に引き出して相手の陣営をできるだけたくさん、苦しませて、減らすことに力を注いだ。
人妖問わず多くの血が流れ、いつの間にか幻想郷は人妖の住める環境では無くなった。どちらが持ち出したのか核兵器の汚染で呼吸もできない。犠牲者、生き残り、その数を把握することも何があったのかすらも分からない。
僅かながらの人妖達は最初からどちらの陣営にも立たず中立もせず無関係を貫き通した地底へ命からがら生き延びた。
幸い、汚染の影響を地底は受けなかった。
しかしながら当事者あったにとりも輝夜も、中立の慧音と協力していた妹紅も口を閉ざしている。いつしかそんな出来事を語る人妖はいなくなった。
幻想郷は滅んだに等しかった。
霊夢は飛び上がって起きた。
眩しい、お天道様はいつも通りのぼっている。
空気も吸える。いつもの平和な幻想郷だ。
まさかお昼寝でこんな悪夢を見るとは、幻想郷が滅びる夢だなんて縁起の悪い。
気分転換、そしておやつの時間なのでお茶を淹れて箪笥からとっておきのお菓子を引っ張り出す。
『たけのこの里』
この前、人里で薬売りをしている鈴仙から1つ貰った。
案内に沿って箱の『あけくち』からぺりぺりめくる。
中の袋を開け、たけのこを一つ口にする。
クリーミーで程よいチョコにサクッとしたクッキーがチョコの甘さを引き立てる。
これはなかなか、お茶請けにちょうど良い。また鈴仙から貰うとしよう。
何気なく箱を手に取り外装を眺めていると魔理沙がやってきた。霊夢が挨拶すると魔理沙は1つの箱を差し出した。
「よっ霊夢、今日はおすすめのお菓子を持ってきたんだ。きのこの山って云うんだが――」