OqqIlcn - 親主・束片割楚誥

触れてはならない、爆発するぞ!

2018/04/01 10:44:10
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 後ろで大きな爆発音がしたって、そんな気がした。嘘じゃない、本当さ。
 それこそが、後世で芸術の爆発と称される文化的特異点の勃発する合図だったわけだよ。
 幻想郷は芸術の炎に包まれた!

 そんな中で、エトガー・トガ爺さんは幻想郷で一番すごい画家なはずだけど誰も相手にしてくれないんだ。
 それでも絵を描きたいから湖のちかくに小屋をたてて、今は妖精を描いてるよ。

「……なにここ?」
「あ? チルノちゃんさん! ここはアンクル・トガズ・キャビンっすよ」
「ふうん、やっとじぶんをかくりするのね」
「そんなつもりはないっす……」

 この小屋はふきぬけで格子もないし孔子も居ない。儒教的な束縛はない。
 なんにも縛りつけないんだってさ、アンクル・トガズ・キャビンでは。

「絵を描いてるっすよ。最近、そそわの人達のあいだで流行ってるんすよ」
「どうせ、ぽるのでしょ。あんたにはおにあいね」
「ちがうっすよ」

 トガ爺さんは妖精達の何気ない一瞬を絵にして永遠のものにしたいんだ。
 それがこのSSの主題なんだ。

「なにかいてんの?」
「大妖精さんっすよ」

 キャンバスを見て、チルノちゃんは首をバナナみたいに捻った。

「あんたがかいたの、これ」
「どうっすか。ハイになるっすよね?」
「くさいわ」
「ありゃりゃっす」

 トガ爺さんはがっかりしたよ。絵はパステルだから確かに臭いけど、そんなんじゃないからね問題は。芳香の方向性なんざ、どうでも良いんだよね。
 トガ爺さんは自然を描きながら自然への反骨を描く。だから妖精を描くんだ。
 モデルはね、大妖精なんだよ、うずくまってるけど。

「なんではねがひかってんの」
「そう見せてるっすよ」

 トガ爺さんはね、ありえないものを描いてんだ。幻想ね。知らなくてもいいけど。
 キャンパスは殆ど灰色で、空も地面も暗い。ただ妖精の羽だけが光源になってる。
 そしたら鼻が暗くって、うなじが明るい。背中が一番明るいってカチカチ山みたいだね。

「はねはこんなひかんないよ。あたまだけじゃなくて、めもわるいのね」
「ひどいっす」

 トガ爺さんの絵には陽射しがないよ。日光なんてトガ爺さんにとっちゃ描くに値しないんだ。

 だって、世界の風景は気紛れなんだ。その輪郭は光の生み出す印象と同じじゃない。
 人の曖昧な網膜に宿るものは、もっと幻想的で、あやふやなものだろう。
 ジッと見てなくちゃ萎むもんなんだよ、世界は。

 だから絵を描くのに光は邪魔なんだよ。光はシルエットをはっきり印象させる。それだとまぶしすぎてね、時には盲目となってしまうだろう。妖精の羽くらいで充分なんだね。
 なんにも縛りつけないんだってさ、アンクル・トガズ・キャビンでは。

「なんでしゃがんでんの」
「これは地面に何かを書いてるとこっすよ。そういう瞬間を絵にしたっす」

 大地は妖精にとって家なんだけど、時には画用紙なんだよ。ベッドにもなるかも。

「なにをかいてんの」
「聞いてくればいいっすよ」
「ふうん」

 チルノちゃんは小屋から出てったよ。
 だからトガ爺さんは絵の続きを書くことにしたんだ。
 つまり、大妖精の隣りに、何を書いているのか聞いてるチルノちゃんを書くのさ。

「一個の魂は、けっして自然のみから産まれるべきじゃないっす。自然は不確かなもんっす。だから妖精は気のどくっす。チルノちゃんさんはフラフラしてばっかりっすからね」

 独りで、トガ爺さんはそんなことを言ったよ。自分のことを棚上げにしてね。
 絵の中の大妖精は、何かを書いてるってさっき言ったけど、実際は何にも書いてない。

 ハッピー・エイプリルフール! ふうううううううう、ハイ、ハイ、ハイハイハイ!

 本当はね、指先を大地に蕩けさせているんだよ。妖精の指と、大地に、垣根が無いみたいにね。

「かわいそうなチルノちゃんさん。あいまいなままだから最強になれないっす」

 チルノちゃんはね、容易に成し遂げられる事柄を拒否したんだ。

 彼女は最強っていう目標、その一点以外には諸々総てに無関心だったのさ。彼女はひたすら自分自身の意に適う、最強であることだけを念願としたんだよ。
 それは同時に、最も頑固で、峻烈な、そして決して感情に動かされない、チルノちゃん自身の自我を満足させることに他ならなかったんだ。これってすごく大変なことさ。

 事実、巫女とか魔法使いとか、新聞記者とか、摩多羅神が寛大に過ぎた軽率さで彼女に与えた栄光とかを、彼女はそれほど理解していないに違いないね――。

 ……でも、ほんとにそうかい?

 自然はフラフラのクラクラで、あいまいなものだよ。
 んで、トガ爺さんの目にも、やっぱりあいまいなものでしかない
 けどチルノちゃんは、最近、はっきりする機会があまりにも多くなってきた気がするんだ。

 もしかしたら、ぜんぶ、もう理解したうえでのことかも知れないよ。
 そんなんじゃあ、いずれトガ爺さんのことなんて忘れちゃうかもね。

「チルノちゃんさんの最強は果たされようとしてるんすか?」

 昔さ、アメリカにトムって爺さんが居たんだ。偉い人でね、特にニグロの人々にとって、彼は素晴らしい友人だった。そのはずさ。奴隷制度を無くしたんだから。
 けど、ある時、マルコムXって人が爺さんの名を臆病者の代名詞で使った。そしたらアメリカの辞書には爺さんの紹介の横ちょに臆病者って意味が付随するようになったのさ。

 臆病だったわけじゃないよ。爺さんは人を許すことができる人だったからね。
 本来、彼の名前にはそんな説明文なんざ相応しくないんだ。火男じゃあるまいし。

 もちろんね、トガ爺さんだってバカじゃないから、自分とその人を一緒にするつもりはないよ。
 だけど、トガ爺さんはチルノちゃんと友達のつもりだからさ、何だか身につまされるんだよ。

 タフにならざるを得なかったマルコムXがトム爺さんを黒人公民権運動活動から追放したみたいにさ、きっとタフになるだろうチルノちゃんはトガ爺さんのことを湖から追放してしまうかもしれない。
 それは、本当に、悲しいことだよ。何せ、トガ爺さんの追放は明らかに当然だものね。大妖精はともかくトガ爺さんはね、ひじょうに残念だけれどもまず間違いない。

「だけど好きにすると良いっす。彼は言ったっす。『私は心から君を許しましょう』」

 トガ爺さんは、そう言って孤独にチルノちゃんを許したよ。

 まあ、そんなこと言っといて、二匹の近くには小屋を描いたんだけどね。
 良いじゃないか、未練がましくて。
 忘れ去られないあいだは、まだ近くに居りゃ良いじゃないか。
 なんにも縛りつけないんだ、アンクル・トガズ・キャビンでは。
 自由なんだろ、そこは?

 なら、居て良いのさ。大丈夫、彼が言っていただろ。『私は心から君を許しましょう』

 それにほら、気付いてるだろ。あんたの背中に、光が伸びてきている。
 光だ。仄かな光だ。光のために盲目となった者をこそ救う光だ。
 もう二度と迷わないって、一度は誓った人々を、迷いから導く、その光だ。

 爺さん、ちょっと眩んでいたけど、もう大丈夫だろ。
 ときに自然は芸術を模倣する。それだけのことさ。
 ごらん、二匹が笑っているよ。

「いいえになったわね」

 そんで、トガ爺さんは驚いちゃって振り返ったんだ。
 ひとりの人間のSS(たましい)は創想話中のポイントぜんぶを集めたものよりも尊い。そうだろ、トム。

記者「なんですか、このタイトルは。某有名作家さんのマネをするなんて、調子に乗っていたんじゃないんですか?」
お客さん「いや、でも、智弘さんはSCP好きらしいし、けど本ネタを使うと智弘さんのネタを潰しちゃうかも知れないから、そこらへんは配慮して……」
記者「配慮の質を決めるのは貴方ではない。調子に乗っていたんじゃないですか、お答え下さい!」
お客さん「……ですから記者の皆さまのご指摘を、創想話の皆さまのご指摘と受け止めテ、ヒィッフウ! アーハーアァッハアァー! 1人の大人として創想話作家として! 折り合いを付けましょうと!」
偉い人「そもそもお客さんは創想話作家なんですか?」
お客さん「ウーハッフッハーン!」

 ……書いてみたけど、ぜんぜん違うね。にせられる智弘さんはすごいなっておもいました。

4/12
 千点超えたんで書いてもらったんです。びっくり。

 ハリエット・ビーチャー・ストウ(1811-1896)
 コネチカット州リッチフィールドの出身。人道主義の扇動者。幼少時にはハートフォード女学校にてファニー・ファーンなど多くの学友と共に学術教育を受ける。21歳時にオハイオ州シンシナティに移住し、レーン神学校の学長である父に倣ってセミ=コロン・クラブに入会する。そこはアボリショニストの活動を旨とし、法律家サーモン・チェイスや後の夫カルバン・ストウなどが会員であった。そこで奴隷制と地下鉄道の知識を得て、40歳時、団体機関紙の編集者ガマリール・ベイリーに直訴。1851年より『アンクル・トムズ・キャビン』を連載。翌年に上梓し、南北戦争の火種となる。その後はコネチカット州に戻り、ハートフォード美術学校の創立に協力、これは後のハートフォード大学である。1888年、認知症を発症し、1896年に死去。晩年の隣人マーク・トウェインは彼女を気の毒な老婆と称している。さもあらん、善悪問わず、扇動者の末路とはかくあるべきものなのだ。
お客さん
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コメント



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I'll take you in the world of a dream and leave.
The newspaper contained what you were arrested for.
I drank a hamster.
There is refrigerated rice in the refrigerator. You should eat as much as you want
    Liver extract
    That is, the reasoning had drawbacks.
2.100名前が無い程度の能力削除
なんで! こんなに! 面白いねん!
3.70奇声を発する程度の能力削除
良かったです
4.無評価名前が無い程度の能力削除
何だよ面白いじゃねーかちくしょう
5.100名前が無い程度の能力削除
あとがきでもう草の限界だった
アンタどんだけ戸隠愛してんだよ!

もう認めるしかないんだろうな
戸隠には波長が合う特化した才能の持ち主を
強烈に惹きつける光があることに
6.100ばかのひ削除
戸隠先生のこと好きすぎて笑いました
8.100名前が無い程度の能力削除
良き
9.100名前が無い程度の能力削除
よくできてる、めっちゃ驚いた
10.80たいだりゅうなみ削除
やっぱすごいねえお客さん。いっぱいおごるよ
12.90名前が無い程度の能力削除
すごいっす。それだけは分かったっすよ