その日あらゆる人生が嘘になって紫苑の頭に降り注いだ。
神社の境内にしんしんと降り積もっていくそれをぼうっと眺めていると、霊夢がやってきて「片付けておいてね」と箒を渡して部屋に引っ込んでしまった。鬼は頬をかいて居心地が悪そうに霧散してしまったし、狛犬は別の神社に出張してしまった。妖精らもメイドロボも悪霊も果ては亀のおじいさんもどこかに行ってしまった。
しまったしまった、考えているうちに嘘がどんどんと地面を埋めていく。箒で払いのけると、辺りにいい匂いが広まった。そうするとお腹がぐうと鳴って、胃がしわがれた風船のようにへこんでしまった。
いよいよもって乾いた唇によだれが染みはじめ、辛抱たまらなくなって嘘をひとすくいして口に流し込んだ。
「うん、うん」
しゃがみ込んで、拾っては咀嚼し、掴んでは飲み込む。
「何やってんの」
「ほら、美味しいよ、これ」
「いらない」
妹は腕を掴んで無理やり立ち上がらせると、とんとんと背中を叩く。
「げー、しちゃいなさい」
「大丈夫だよ、腐ってなんかないよ」
「どうせお腹なんか膨れない」
そんなことはなかった。つまみ食いを続けながらこの美味しさを妹に語って聞かせてみたけれど、気怠そうに髪をくるくるといじっているだけだった。
そのうちに、ぱんぱんに膨れたお腹を撫でて、寝転んで、また口に放り込んだ。
でも妹の言う通りなんとなく満たされなくて、空から降る嘘のずっと遠く眺めた。
蒼天の頂にお日様が有った。
そしたら嘘たちはゆるゆると溶けていって、お腹もしぼんでしまった。
「ほらね」
妹が手をとって立ち上がらせる。
そうすると、霊夢が「お昼よ」と障子をあけ放った。萃香はへべれけになっていて、あうんはお散歩から帰ってきていた。サニーとスターとルナとピースはそろって座布団を占拠して、る~ことはお皿を運んで、魅魔はあくびをして、玄爺は池から顔をだした。
霊夢の手招きに妹の手を取って駆けて行く。紫苑はお腹がすいていて良かったなと思った。
神社の境内にしんしんと降り積もっていくそれをぼうっと眺めていると、霊夢がやってきて「片付けておいてね」と箒を渡して部屋に引っ込んでしまった。鬼は頬をかいて居心地が悪そうに霧散してしまったし、狛犬は別の神社に出張してしまった。妖精らもメイドロボも悪霊も果ては亀のおじいさんもどこかに行ってしまった。
しまったしまった、考えているうちに嘘がどんどんと地面を埋めていく。箒で払いのけると、辺りにいい匂いが広まった。そうするとお腹がぐうと鳴って、胃がしわがれた風船のようにへこんでしまった。
いよいよもって乾いた唇によだれが染みはじめ、辛抱たまらなくなって嘘をひとすくいして口に流し込んだ。
「うん、うん」
しゃがみ込んで、拾っては咀嚼し、掴んでは飲み込む。
「何やってんの」
「ほら、美味しいよ、これ」
「いらない」
妹は腕を掴んで無理やり立ち上がらせると、とんとんと背中を叩く。
「げー、しちゃいなさい」
「大丈夫だよ、腐ってなんかないよ」
「どうせお腹なんか膨れない」
そんなことはなかった。つまみ食いを続けながらこの美味しさを妹に語って聞かせてみたけれど、気怠そうに髪をくるくるといじっているだけだった。
そのうちに、ぱんぱんに膨れたお腹を撫でて、寝転んで、また口に放り込んだ。
でも妹の言う通りなんとなく満たされなくて、空から降る嘘のずっと遠く眺めた。
蒼天の頂にお日様が有った。
そしたら嘘たちはゆるゆると溶けていって、お腹もしぼんでしまった。
「ほらね」
妹が手をとって立ち上がらせる。
そうすると、霊夢が「お昼よ」と障子をあけ放った。萃香はへべれけになっていて、あうんはお散歩から帰ってきていた。サニーとスターとルナとピースはそろって座布団を占拠して、る~ことはお皿を運んで、魅魔はあくびをして、玄爺は池から顔をだした。
霊夢の手招きに妹の手を取って駆けて行く。紫苑はお腹がすいていて良かったなと思った。