雨と埃だけ食って辛うじて生きる

幻想少女の落とし文

2016/04/01 00:07:54
最終更新
ページ数
1
閲覧数
691
評価数
2/3
POINT
4410047

分類タグ

001 あたいのも!
 文が拾った光りものを鞄の中に大事にしまい込むのを見て、チルノが言った。
「ぴかぴかしてるの、好きなの?」
「あはは、お恥ずかしい。光りものを見るとついつい惹かれてしまうんです。まあコレクション……ああ、えっと、宝物みたいなものですよ」
「ふうん」
 次の日、文の知らぬうちに、鞄にチルノの羽が入っていた。



002 新人弄り          と親友弄り
「ちょっとした提案があるんだけど」とパチュリーはいつもの寝ているんだか起きているんだかはっきりしない調子で言った。
「レミィ、あなた、吸血が下手よね」
「認めよう」
 レミリアは素直に頷いた。
 しかし、これは潔さからくるものではなく、この魔女相手に些細な嘘をつけば、忘れた頃に何倍にもなって報復されるという事実を、よくよく知っているからだった。
 経験に裏打ちされた賢さを見せる親友を満足げに眺め、パチュリーは続けた。
「ところで母乳って元は血液なの。そして、母乳が分泌される乳房には、乳首という初心者導入システムがあるわ」
 レミリアの経験は、即座にこの場から離れるべきだと叫んだ。
 レミリアは凄まじい勢いで身を翻す。ところが目の前には、小さな新入りがなにやら瞳に熱意を湛え、姿勢よく立っていた。
「お嬢様のためなら、さくやは、その、が、がんばります!」
「まあ、咲夜ったらまだ新入りなのに立派じゃないの。レミィ、ご主人様ならこの献身を無碍にしちゃいけないわ」
 レミリアは魔女の得意げな顔に拳を叩きこむための最適な角度について考え始めた。



003 新人レッスン
レミリア「咲夜、一つ気をつけてほしいのだけど、フランの機嫌が悪いときには近付いちゃいけないよ。お前はまだ小さいんだから」
咲夜「はい、お嬢様! あれ、でも……えっと、妹様のご機嫌をどうやって遠くからうかがえばよろしいのでしょうか」
レミリア「わかりやすい覚え方があるわ。あの子のご機嫌目盛りは背中の羽にあるの。羽の宝石が尖っていたら回れ右、簡単でしょ?」
咲夜「へえ、へええ、そうなんですか。あの、どうして尖っていたら不機嫌なんですか?」
レミリア「この前、爪をかじるのはやめなさいと言ったからね」



004 達者
レミリア「フラン、こういうゲームはどうかしら。トランプの山からお互いカードを一枚引いて、そこにある数字を探り合うの。『その数字がなにか』以外の質問でね」
フランドール「いいよ。それじゃあ、私からね。お姉様のカードを見せて? 断ったらもう一緒に寝てあげない」
レミリア「うん、お姉ちゃんの負けね。ところで次からはルールを変えてもいい? 『脅迫はなし』」
フランドール「ふうん、構わないよ。私のはお願いだもの」
レミリア「わーお」



005 名人
 フランドールはパチュリーのもとに歩み寄り、机の上に高く積まれた本の群れを乱暴に払い落として、一枚の画用紙を広げた。
「ねえ、見て。お姉様の絵を描いたの」
 パチュリーはしばらく無視を決め込んだが、焦れたフランドールが机と拳で退屈を表現し始めると、持っていた分厚い書物を名残惜しそうに閉じた。
「どちらかというと」とパチュリーは眠そうな目つきで答えた。「私にはあなたの自画像みたいに見えるわ」
「そうかなあ」
「きちんと分かりやすくするべきね。色をつけるとか、羽を描き足すとか」
「ふうん。それならもっと簡単な方法があるよ」
 フランドールはスカートのポケットから短い鉛筆を取り出し、画用紙の余白に吹き出しを付け足した。その吹き出しの中に『パセリは抜いてって言ったでしょ!』と描かれたのを見て、パチュリーは感にたえないように言った。
「あなたには才能があるわね」
「絵の?」
「レミィの」



006 夜はこれから
こいし「今日はなんだか眠れないなあ」
さとり「ヒツジを数えていると、夢と仲良くなれますよ」
こいし(ヒツジよりお姉ちゃんの方がいいなあ。お姉ちゃんが一人。お姉ちゃんが二人、うん、これこれ。お姉ちゃんが三人、三人もいたらあんなことやこんなこともできるじゃない! お姉ちゃんが四人、並べたら消えそう。お姉ちゃんが五人、ええ、五人も!? こいつはたまらないね!)
さとり「ねえ、ちょっと、なにか興奮してない?」



007 私の
「姉さん」
 八橋の吐息は熱く散らばり、弁々の唇を湿らせた。
 つないだ手はきつく絡み合い、互いの指の境はなくなりかけている。目の前にいるはずの少女が妹ではなく、自分というものの延長なのだと、弁々には思えてならなかった。
「これ、本当に……姉妹でする、こと、なの?」
 八橋の濡れた舌が、うす暗い室内の中できらめき、弁々の欲望の底をわずかに照らした。
 ひとすじの射した光を、暗闇にあってただ求めることは、不自然だろうか。これは、自分がこの子を感じることは。
 弁々は穏やかに微笑み、八橋の耳元に口づけをした。
「もちろんよ」
 腕の中で乱れる少女と姉妹になってから、弁々は初めて嘘をついた。



008 代替
怨敵輝夜と相対した妹紅は、自らの手を引きちぎり、それを相手の足元に投げつけるや言い放った。
「決闘を申し込む」



009 私の毎日が、あらゆる面を、ますます良くさせている!
 それが素晴らしいひらめきのように思われ、茶屋の縁台で暢気にしていたこいしは何の前触れもなく、お隣のこころのほっぺに唇をそっと落としたが、相手は団子をもぐもぐやって気にも留めない。
 すっかりつまらなくなったところ、はっと思いついて、団子片手に携えるこころの面に接吻を試みると、たちまち無表情に日が落ちた。
 こいしは瞳を輝かせ、うーん、と唸った。
「なるほどなるほどー……急がば回れ!」
 少女は今日も一つ賢くなった。



010 ひどくみじかい夢の中
 サグメは自分がなにか、ふさふさしたやわらかな塊を握っていることに気付いた。
 それは黒い毛並みの尾っぽで、持ち主を辿っていくとドレミーの背が見えた。
 ここは夢なのか、と思うとサグメの手つきは大胆になり、尾は無遠慮に引っ張られた分、ずんずん伸びていった。すると突然、ドレミーの衣服にある意匠の珠が次々と転がり落ちた。
 顔をしかめたサグメが見上げると、丁度ドレミーの首もそれに倣うところだった。



011 明け
 周りの月兎が次々と背中に羽を生やし、黒い空に吸い込まれていく。
 やがて月兎たちは小さな白光となって、冷たい夜空の至るところにおさまっていく。その輝きが奇妙なほどに判然としているので、サグメはこれが夢なのだとわかった。
 そう考えた途端、耳元に息遣いを覚え、肩越しに振り向くと、ドレミーがにこにこしながら立っている。

 あなたは飛んで行かないの?

 サグメの視線がたずねた。
 相手の瞳は揺れることなく、澄んだままに見返した。

 私はどうせ飛べないわ。

 サグメは口の中で言った。背にある自分の片翼が、なんだか急に寂しく思えた。
 そのとき、なにかあたたかいものが指の間に滑り込んだ。手元を見ると、ドレミーがこちらの両手を握っていた。
 ドレミーがなにも言わないままなので、サグメは自分がなにか言うべきではという気になったが、どうにも舌は上手く回らず、口の中で何事かつぶやくだけで精いっぱいだった。
 そうしてまごまごしているうちに、サグメはふと、ドレミーの背に羽が生えていることに気付いた。それは片翼で、自分とは対称の位置にあった。
 たちまち二人の身体はふわりと浮き上がり、両翼が彼女たちを頭上でほの光る無数の点の一つにさせるべく運んでいった。ひやりとした宙の中、指先を通じてドレミーの体温が自身のうちを巡っていくのがわかった。
 繋がれた互いの手を見る。
 気持ちの灯るものがここにあるのだと理解したとき、無限に思えた夜の暗がりはいっぺんに消え去り、伸ばした手の向こう側が霞むほどに、辺りは真っ白に染まり上がった。
 朝が訪れていた。



012 慣性
純狐「嫦娥よ! 嫦娥よ!」
ヘカーティア「なにしてるの」
純狐「殺意の復習」
ヘカーティア「ねえ、ほどほどにしたら?」
純狐「だが……いや、認めよう。確かに私は」
クラウンピース「お待たせしましたー、ご飯の用意が」
純狐「クラウンピースよ!」
クラウンピース「ひゃあ!」
純狐「……神経質になってる」



013 私が一番
鈴仙「ストレスはすぐ耳に出るわー。また耳がへにょっちゃった」
永琳「仕方ない子ね。あとで私の部屋に来なさい(私が一番へにょり耳を上手く治せる)」
輝夜「鈴仙や、あとで私の部屋へ来てちょうだい(私が一番へにょり耳を上手く治せる)」
てゐ「鈴仙ちゃん。仕事終わったら部屋に来なよ(私が一番へにょり耳を上手く治せる)」



014 一家言
阿求「1000回遊べる妖精」



015 慈悲
「白蓮、その妙な二輪車に乗る必要がどこにあるんだ。きみなら走った方が速いだろうに」
 聖人の問いに、尼公答える。
「お相手に祈る時間を与えるためです……このように」
 内燃機関のいななきに、甲高き悲鳴の混じる白昼のこと。



016 首なし胴なし返事なし
 響子が命蓮寺の門前を掃いていると、人影がさっと前を通った。
 すかさず「おはようございます!」と威勢よく言い放つが、相手は立ち止まるとわずかに振り返り、赤い頭巾を被った頭を下げて、静かにおじぎするだけだった。
 挨拶は心のオアシスを信条とする響子にとって、このあまりに遠慮がちな相手の態度は見過ごせず、ちょっとちょっと、と服の裾なりなんなりを引っ張ろうとする。
 ところが、目測を誤って掴んだのは頭巾の端で、それを引くと、たちまち相手の素顔が露わになるはずがそうはならなかったので、響子はわわわっ、と飛び上がった。というのは、頭のあるべき部分は空っぽで、頭巾が頭部を形づくっているだけの首なしだった。
 そのとき、慄く響子の背後より「やあ、見つけたぞ」と声がかかった。振り向くと、今度は首だけ浮かびあがった胴なしが目前にまで迫りくるものだから、響子はひゃひゃあ、と跳ね上がった。
 胴なしは響子に構わずに首なしへと向かい、首のすわりを確かめた。
「やっと落ち着いた。困ったものね、散歩の途中ではぐれるんだもの」
 赤蛮奇は一息つくと、初めて響子に気がついたという調子で「おはよう」と挨拶したが、響子は先ほどの心の弾みに治まりがつかず、なにも言い返せなかった。



017 おいしさの工程
フランドール「お姉様は気にならないの? このふわふわのホットケーキをさ、重ねて食べたらどのくらいおいしくなるのかって」
レミリア「うーん、確かに興味深いアイデアね。私のおやつをあなたにあげるから、試してくれる? 私の代わりに調べてくれないかしら」
フランドール「うん。これは、うん、うん、やっぱり大成功だね。とってもおいしかったから、残りの半分はお姉様にあげる!」
レミリア「ありがとう。一枚のホットケーキより二枚重ねのハーフの方がおいしいなんて素晴らしい発見ね」
フランドール「多分、一緒に食べてるからだと思うよ」
レミリア「まあ! あなたはおやつのスペシャリストね」



018 うわあ
ヘカーティア「あなたにはこれを受け取って欲しいの」
鈴仙「え、なんですかこの本。見ただけで読む気が吹っ飛ぶ分厚さなんですけど」
ヘカーティア「説明書」
鈴仙「説明書?」
ヘカーティア「これを読めば純狐のことが全部わかるわよー。表情の違いとか、こういうときはどう接すればいいとか」
鈴仙「……へー」



019 二人で
「おまんじゅうの一番おいしい食べ方、知ってる?」と針妙丸は白く柔らかい饅頭を胸に抱えて言った。
 正邪は何も言わなかった。饅頭を口にぽくぽく放りこみ、時々思い出したように顎を動かして、それから差し出された茶を喉に流しこんだ。
 日は大分伸び始めていたが、風の手触りはまだ鋭かった。正邪は、ぷーっ、と熱っぽい吐息をもらした。
「一口の大きさのものを少しずつかじって食べるのよ。色々試したけど、これが一番おいしかったわ」と針妙丸は言った。
 正邪は手にした饅頭を一口に食べてから、「へえ、そうかい」と返した。愉快そうな細い目が、縁側に座る隣の小人を見下ろした。
 小さくちぎり取った饅頭の一片を、針妙丸はゆっくり味わった。
「せっかく教えてあげたのに」
「そんな呑気な作法に付き合う暇はないね」と正邪は言った。「じゃあな、ちび」
「もう行っちゃうの?」と針妙丸が立ちあがった正邪の背に言った。「私はまだ食べてるのよ」
「ただでさえ食うのに時間のかかる奴が、そんなまどろっこしいやり方をするからだ」
「ごめんね、正邪」と針妙丸は言った。「さっきの、一番おいしい食べ方っていうのは、嘘なの」
 正邪は振り返った。小人の強い視線が絡みつき、体が水に沈められたように重くなった。もがくように前に向き直り、足に力をこめて、天邪鬼は勢いよく地を蹴った。
「むしゃむしゃ」と去り際に正邪は言った。



020 悪天の楽しみ
 朝から厚い雲が山に垂れ込めていた。鉛色でいかにも重そうな空模様は、正午をまわった頃、誰もが想像した通りに滴をぽつりと落としだした。
 にとりはプリント基板から顔を上げ、工房を飛び出した。深く息を吸うと、はんだの匂いは追い出され、代わりに土と砂利と葉っぱを記憶する湿った空気が肺に流れ込んだ。
 少し歩くと、うっすらとしていた水の下る音が頭に飛び交い始めた。水位の増した河が白い飛沫を飛ばしている。
 にとりは流れの勢いをよく確かめ、それから薄汚れた青いつなぎを着たまま、河に飛び込んだ。浮き上がるのを待って、それから体を流れに任せた。
 睡蓮のように水面に咲いたにとりの顔を、雨粒が冷たく打った。息をもらすと、白い歯に当たった滴がぴしゃんと弾けた。
 その小さな音は、にとりの胸のうちをゆっくりと巡っていった。



021 ダイエット
レミリア「ちょっとフラン、どうして羽を足代わりに地面につけて歩いてるの? なにかの儀式?」
フランドール「筋トレ」



022 母さん、今日友達来てるから
 ナズーリンは自分の尻尾がなんだか普段より重いように感じられた。
 振り返ると、尻尾に引っかけた編み籠の中で相棒のネズミと見慣れぬ小人がくつろいでいた。
「本日はお招きいただきありがとうございます」
 針妙丸が丁寧に頭を下げ、その隣でネズミは申し訳なさそうな微笑みを浮かべていた。



023 練習
 レイセンが報告している間、サグメは黙って座っていたが、デスクの上に伏せた左手を右手がたえず撫でまわしていた。
「痛むのですか?」とレイセンは恐るおそる訊ねた。
 サグメは目をわずかに見開き、それから小さく首を振った。彼女の手つきも冷たく横たわるだけとなった。
 レイセンが退室するのを見届けると、サグメの指は息を吹き返した。
 かりかりと小刻みに掻いて、大きく撫でまわし、指の腹を押し付けるようにして円を描く。
 ひと通りをこなし、サグメは満足げに頷いた。そして、弾む足取りでベッドに向かった。



024 三人いるから
 クラウンピースが本とにらみ合っていたので、ヘカーティアは思わず声をあげた。
「あら! お前がそんなことするなんて、明日は何が降って来るのかしら。ねえ、その本はいったい何について教えてくれるの?」
「ご主人様とのお付き合いについてですよ!」
 ヘカーティアは本のタイトルを覗きこむと、そこには『地殻変動、大水、業火から身を守るには? 災害対策マニュアル』という文面が表紙を飾っていた。



025 あの月からあなたを盗む
「見ますよ」とドレミーは言った。「悪夢を食べてますからね。私も悪夢にうなされないと消化できないんです」
 サグメは意外そうに頷いた。黒い空と月の下、白く小さな丸いテーブルの向こうにある、あまり見ないその表情は、ドレミーの胸に弾みをつけて、微笑みの角度にいくらかの補正を加えさせた。
「でも苦しくはないの?」とサグメは訊ねた。
「もちろん、苦しいですよ。だけど、ほかのものを食べても通り抜けるだけですからね。ここであなたと一緒に食べたり飲んだりしたものは、私の口に入って喉を通りますけどお腹の中に送られることは決してないんです。自分で生み出したものですから、同化してすぐに跡形もなく綺麗さっぱりなくなります。結局、自分の体に重みをつけるには、余所から持ってくるしかないんですよ」
「捨てられたらって思ったことはないかしら、ドレミー? つまり、そうした自分を」とサグメは言った。
「あなたと同じだと思いますよ」
「そう」
「そうです」とドレミーは話に区切りをつけた。
 二人の間に沈黙が泳いだ。それは口をつぐむことによって搾り出た重苦しいものではなく、眠りのようにあるべくして訪れたものだった。
 やがて、観葉植物のように佇んでいた沈黙は、突然なんの前触れもなく消え去った。そのことをドレミーとサグメは同時に察した。相手が自分と同じように知ったことさえも。
「プロメテウスを知ってますか?」とドレミーはなにかを告白するような調子で言った。
「ギリシャ神話ね」とサグメが頷いた。
「彼は神々から火を盗み、その罰として永劫続く痛みと苦しみを与えられた。私はこの話を初めて知ったとき、疑問に思いました。何故私は、という疑問です」とドレミーは言った。「私は私を生かすために悪夢を食べ、悪夢にうなされて、悪夢を消化します。ほかの誰のためでもない、私のためにですよ。では私はこの罰を受けて、代わりになにがあると言うんでしょう。どこに罪があるんです? 私はその答えを、ずっと見つけられずにいました」
 サグメは自分でも訳が分からず、夢中で手を伸ばしていた。縋るような手つきで、何かを掴もうとするように。
「あなたと出会うまでは」とドレミーは言った。サグメの細い指に自分の指で絡め取り、しっかりと握った。「わかったんです。あなたがいて、そのときようやく、答えが私の中にやってきました。疑問が氷解すると、すべてが望んだままの形であることに気付きました。思えば当然だった。あまりにも重い罪のせいで、先に罰があっただけ。そのために私は悪夢に苦しみ、ふさわしい罰が与えられた。本当に、それだけのことだったの」
 ドレミーはもう口を開かなかった。無音のため息が、話すべきことは残っていないと言っていた。サグメにはそう感じられた。
 互いの手はテーブルの中央でつながったままだった。二つの腕と一つの熱が、月のように丸い円形の平板を二分していた。
 そのまま二人はじっとしていた。夜が明けつつあった。この夢が終わろうと、指先を包む熱の在り処が失われはしないことを、彼女たちは知っていた。
もう少し書きたかったんだけど、undertaleにはまってしまってな。
智弘
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.4410030簡易評価
2.14無名の卍解削除
以下気に入った話の感想です。主に言語が崩壊しています。

2 オチでにやけた。"潔さからくるものではなく"の部分が二人の付き合いの長さが垣間見えてよかった
6 こいつはたまらないね! 笑った。なにか興奮してない?ってツッコミもどうかと思うぞさとりん!
7 姉妹の契キタコレ!もっと嘘ついていいのよ
8 一発芸のために手を千切るとはさすが蓬莱人。でも痛そう
11 月兎たちが星になるところがきれい。ドレミーが翼の代わりに。。良い!
12 殺意、練習するものなのか。でももうなんのための殺意かもわからないもんね。。
13 みんなして逆にへにょらせてしまう未来も見えた
14 AQNこわ
18 純狐、すっかりこんな扱いに。でもそんなヘカ純が大好き。あと鈴仙がんば
20 河童の楽しい生活 よき自然がいい 最高
21 刺さりそう
22 ネズミの微笑みとは
25 いい この二人ならではのあつい告白

もうすこし読みたかったけど、undertaleが面白いなら仕方ない。
3.3無名の卍解削除
いっつぁみらこー