「全部、嘘だったの。――ごめんなさいね」
静かに頭を下げる永琳の隣で、とりあえず私も頭を下げてみた。
座卓を挟んで向かい側に座る妹紅は、困惑したような表情を浮かべている。
「嘘って、どういうことだよ。いったい何が」
「……何もかも、よ」
落ち着いた調子で、きっぱりと答える永琳。
あたたかな風が草芽の香りを乗せて、永遠亭の客間に流れ込んでくる。
今日はいい天気だなあ、と私は思った。
「何を言ってるんだかわからない。ちゃんと説明してくれ」
「そうね。何をどう話したものか、難しいのだけど……」
妹紅と永琳とのやり取りに耳を傾けつつ、湯呑みを手に取る。
季節の移ろいに身を委ねられるというのは、趣深いこと。
春は春の、夏は夏の、秋は秋の、冬は冬の、あらゆるものを楽しめる。
景色だったり、香りだったり、味覚だったり、鳥や虫の声だったり。
「端的に言うのなら」
そして――季節ごとの行事≪イベント≫だったり。
「あなたは不死人ではない、ということよ。藤原妹紅」
春だなあ、と。
お茶を啜りながら、私はそう思ったのだった。
◇ ◇ ◇
それは梅の香がほのかに匂い立つ、弥生の頃のこと。
外から帰ってきた私は、部屋で書き物をしていた永琳に話しかけた。
「ねぇ永琳、永琳。興味深い話を聞いてきたわ」
「あら輝夜、どうしたの。手洗いうがいは?」
「後でする。それよりね、」
「今なさい」
真顔で言われて、私はしょんぼりと手洗いうがいをしてきた。
そして改めて永琳と向き直る。
「新しい行事の話よ。ナウなヤングにバカウケの」
「あらまあ」
永琳は片頬に手を当て、おっとりと首を傾げた。
「なんと、なんとねっ。卯月の一日には……自由に嘘を吐いてもいいそうなのよ!」
「まあまあ」
「なにしろ最新の流行らしいからね。知っていて?」
ふふん、と私が胸を張ると、永琳はとても優しい目でこっちを見てきた。
「でね、私も流行に乗ろうかと思ったのだけど、気づいちゃったの。私ってば、誰かを謀ったり欺いたりするのが得意でないのよねぇ」
「得意なのは、どちらかというと他人を振り回すほうですものね、輝夜は」
紙束を片付けながら言う永琳に、ひょいと抱きついてみる。
「だからー、そういうのに向いている永琳にやってもらえばいいんじゃないかと思って」
「えっ。ですが、私もそんなに嘘を吐くのが得意というわけじゃ」
「謙遜しなくていいわ。地上のイナバも言ってたわよ。『私も大概、騙しの技術じゃ人後に落ちない自負はあったんですけど、お師匠様にゃ敵わんですわ。特にあの厚化粧の腕前ときたら!』って」
「あらあら。今夜は兎鍋かしら」
「そんな永琳を見込んでのお願いよ。私と一緒に流行の最先端を駆けましょう!」
私の熱意が通じたのか、永琳は苦笑交じりではあったけれど、首を縦に振ってくれた。
やっぱり私の永琳は優しいね。
「ところで、誰を騙すつもりなの」
「もちろん、決まってるじゃない」
◇ ◇ ◇
「不死人じゃない? 私が?」
「ええ、そうよ。あなたは、やがて死にゆく普通の人間なの」
妹紅の間抜け面を見て、私は笑いをこらえる。
永琳いわく、嘘というのは大きければ大きいほどいいのだと。
確かに、どうでもいい小さなことで騙してみても、面白くない。
どうせなら大きく根本的な嘘を仕掛けたいものだ。
というわけで今回、妹紅には普通の人間になってもらうことにした。
正直、「私って異端だよね」みたいな空気を醸し出されても鬱陶しいし。
死なないことをキャラ付けに使われるのも癪に障る。
“不滅”で“炎”とか、あんた火鼠の皮衣とキャラが被ってんのよ。
ここらで一つ、あんたは普通の人間だ、と突き付けてやったらスッキリするわよね。
「……ハッ、何を言うかと思えば、バカバカしい」
だけど妹紅は苦々しい顔をして、吐き捨てるようにそう言った。
そりゃそうか。いくら単純おバカの妹紅だって、いきなり呼ばれて「あんたは不死人じゃないのよ」と告げられ、ホイホイ信じるわけもない。
どうするのよ、これ。
私は永琳を横目で見る。
けれども永琳は動じた様子もなく、背筋をピシッと伸ばして座ったままだった。
「バカバカしい、か。……まあ、そう思われることでしょう」
「ふん」
「でも、逆に聞きたいわ。何がバカバカしいの?」
永琳の問い返しに、妹紅が面食らったような顔をした。
私も面食らった。
ちなみに、私は具体的にどういう風にして妹紅を騙すのかは聞いていない。
永琳も「立ち合いは強くあたってあとは流れで」くらいしか言っていなかった。
よくわからないけど、永琳が言うならきっと大丈夫なんだろう。
「何がって……そりゃ、私は現に死なないからね。不死人じゃないとか言われても困る。タケノコに向かって、『実はお前はキノコなんだ』って言ったところで仕方ないだろ」
「現に死なない、と。そもそも、そこが大いなる勘違いなのよねぇ」
「は?」
妹紅は訝しげな顔つきとなった。
永琳が何を言っているかわからない、という感じだ。
安心して妹紅。私もさっぱりわからない。
「勘違いってなんだよ。というか、自分が死ぬか死なないか、どうやれば勘違いできるんだ。なんなら、今ここで試しに死んでみせてやろうか。えっと……何か刃物とかない?」
「それには及ばないわ」
腰を浮かせた妹紅を、永琳が制止する。
客間を血まみれにされても困るしね、畳の掃除とか大変だし。イナバたちが。
永琳は少しの間こめかみに指を当てると、「そうね」と一つ頷いて話を続ける。
「妹紅、あなたはかつて蓬莱の薬を服用し、その結果不老不死となった。そうよね」
「あ、ああ。そうだけど」
「そこからして嘘だった、としたら?」
妹紅は首を傾げる。
私もつられて首を傾げた。
「あなたは偽薬効果というのを知っているかしら」
ある種の天才にありがちなように、永琳の話は時折ポンと飛ぶ。
本人の頭の中では繋がっているんだろうけど、聞いているこっちとしてはわけがわからない。
それでも、「知っているかしら」と聞いてくれるようになっただけ、マシなんだけど。
「いや、あいにくだが」
「そう。偽薬効果というのは、偽物の薬を投与した際にみられる治癒効果のことをいうの。薬自体の成分ではなく、薬を服用した安心感とか医師への信頼とか、そういう心理的な要素によって症状が改善されるわけよ」
“病は気から”なんて言うけど、その逆みたいなものね、と永琳は説明してくれた。
気の持ちようで体調が悪くなることもあれば、良くなることもあるというわけだ。
「文字通り、気休めというやつか。まあ、そういうのはあるな。で、それがどうした」
「わからない? あなたが服用した蓬莱の薬。それが偽薬だったと言っているの」
「なん、だと……?」
妹紅は困惑と驚愕を足して二で割ったような顔をする。
嘘だろ? というような表情だ。まあ嘘なんだけど。
「つまり、こういうことよ。あなたは不老不死の妙薬だと信じ込んで蓬莱の薬を服用した。もちろんそれはただ苦いだけの薬だったかも知れない。……いえ、甘かったかしら。まあ味はどうでもいいのだけど。ともかく、その信じる心が奇跡を起こしたのよ」
まあ、妹紅って信じやすいからなぁ。
何もかも疑っているような素振りを見せているくせして、呆れるほど素直だ。
前にあっち向いてホイをやったら八〇〇連勝したことがある。飽きたから止めたけど、もう一回やっていたら八〇一連勝だっただろう。
「そうは言っても、いくら信じたからって不老不死になるわけじゃないけどね。しょせんは偽物の薬だったのだから。奇跡は起こらないから奇跡っていうのだし」
うん。
一つ前の言葉をいい感じに台無しにしてくれるのも、永琳の素敵なとこだと思う。
「……いやいや、ちょっと待ってくれ!」
妹紅が慌てたように首をぶるぶると振る。
その様は水気を跳ね飛ばす犬に似ていた。
「何かしら?」
「不老不死になるわけじゃないって、じゃあ今の私は何なんだよ。怪我しようが倒れようが死なないし、そもそも――私がどれだけ生きてると思ってるんだ!?」
当然の疑問よね。
妹紅じゃないけど、実際に死なない以上、永琳がどれだけ言いくるめようとしても、やっぱり無理があるんじゃないかしら。
だけど、横を見ると、ほら。
ご覧下さいな、いい笑顔です。余裕の微笑だ。馬力が違いますよ。
「つまりね、蓬莱の薬を不老不死の妙薬だと信じ込んだあなたは、偽薬効果によって、超健康な普通の人間になったの」
「超健康な普通の人間」
なんだそれは。
新手の属性だろうか。
「超健康だからね。ただちょっと長生きしているというだけでしょう」
「長生き」
あ、妹紅の目から光が消えかけてる。
まあ、長生きとか言われちゃ、ねぇ。
「……いやいやいや! お前は何を言ってるんだ。長生きとか、そういうので片付けていい長さじゃないだろう! 千年だぞ、千年!」
座卓をドンと叩いて、妹紅復活ッ!
しぶといねー。
永琳は、軽く息を吐いて座卓の上で両手の指を組んだ。
「じゃあ聞くけど、たとえば四十歳で亡くなる方がいるわよね。その一方で、八十年以上生きる方もいる。その時点で既に倍以上も寿命の格差があるわけだけど、どれくらい生きたら長生きで、どれくらいで亡くなったら短命なの?」
「え、いや、それは」
「仮に百歳で長生きだとする。その場合、九十九歳と三百六十四日で亡くなったら、長生きではないといえる?」
「そんなことは、ない、と思うけど……」
「短命だって同じ。早世というのは何歳で亡くなること? 五歳かしら、四歳? それとも二歳?」
おお、妹紅がたじろいでいる。
永琳先生絶好調だ。
「何が言いたいかというと、寿命については長いとか短いとか、そういう絶対的な基準なんてものはない、ということよ。肉体の健康さも生活環境も人それぞれなのだから、違うのが当たり前。比較することに意味なんてないの」
「う、うん?」
「たまたまあなたは千年以上生き続けているかも知れない。でも、それはあなたが超健康な普通の人間だったから」
「ぶふっ……いえ、こほん。失礼」
……あっぶな。思わず噴き出しちゃうとこだったわ。
「超健康な普通の人間」とか真顔で言うのって反則だと思う。
ほら、妹紅も里の賭博場で全財産融かした人みたいな顔してるし。
「だ、だけど! だけどな!」
粘る妹紅。
妙に必死な顔をしてる。
危機を覚えているのかも知れない。自我とかキャラとかの。
「だけど、ほら、アレだ。ただ長生きなんじゃなくて、私は、そう。……何度も死んでるんだ。そうだ、何度も死んでるんだぞ! そして復活している! これはもう不老不死じゃなけりゃ説明できないだろ! わは、わはは!」
永琳に指を突き付けて高笑いをする妹紅。
いとをかし。
「残念だけど、それも説明可能よ」
「何ィ……!?」
ギリリ、と。一転して悪魔のような形相になる。
いったい何と戦ってるんだろう、この子。
「あなたも、夜になると眠るわよね」
「あん? ……まあ、そりゃ寝るよ。寝なきゃ死んじゃうからな。生き返るけど」
小粋な冗句を飛ばしたつもりなんだろうか。
やっぱりこのドヤ顔、絶妙に鬱陶しいわ。
しかし永琳、当然のようにこれをスルー。
「眠っている時は、意識を失っているわよね」
「そうだね。浅く眠る癖がついてしまったけど」
眠っている妹紅の顔に落書きしようと思って近づいたことがあったけど、物凄い勢いで飛び起きちゃったのよね。
警戒心が強いところは、なんか野生の穢い獣っぽさがあるわ。
「それと同じよ」
と永琳は頷きながら言った。
「意識を手放したからと言って、死んでいるわけではない。それは睡眠時のことを考えればわかるはず。気を失った時なんかもそうね。妹紅、あなたが死んで生き返ったと思い込んでいたのは、単に気を失って再び目を覚ましたというだけのことなのよ」
「は……? いや、ちょっと待って。え? それはいくらなんでも」
「なら、あなたは自分が『死んでいた』ことを証明できて? 意識が途切れている間、自分の生命が失われていたということを、どうして知ることができるの」
「それは、その……」
おおっと、また妹紅の目から光が失われかけているね。
でも永琳の言うこともわかってしまう。
眠っている最中は、自分が眠っているということを知ることも意識することもできない。それと同じように、死んでいる最中は、自分が死んでいるということを知ることも意識することもできない。
まあ、普通は一度死んだらそれまでだから、知るとか意識するとか、そういう状況自体がやってこないんだろうけど。
せいぜい、信用のおける友人か誰かに、「あなたは今、確実に死んでいましたよ」と保証してもらうくらいかしら、方法としては。
でもこいつ、友達いなさそうだしなぁ。可哀想に。
「おい、輝夜! 何笑ってるのよ!」
「ええっ、私? 別に面白いなとか、そういうこと思ってたわけじゃないわよ」
「なんかムカつくんだよお前! 息吸うなよ、もう!」
無茶をおっしゃる。死んじゃうじゃないの。
とはいえ、妹紅も相当動揺しているようだ。いきなり私に矛先を向けてきたのも、話を逸らしたかったからじゃないかな。
「というわけで、わかったかしら。妹紅、あなたはいつかは死ぬ、普通の超健康な人間に過ぎないということが」
もちろん、そんな敵前逃亡を許すほど永琳は甘くなんかなくて、ほら、妹紅が蝋人形みたいな顔になってる。
自分で火をつけて融けるのかしらね。蝋燭妹紅。
「…………わかったよ」
「ほう?」
しばらく俯いていた妹紅は、ようやく顔を上げると、呟くように言った。
もしかして認める気になったんだろうか。
「私は、不死じゃないのかも知れない。不老のほうは……わかんないけど、きっとあんたなら何かしら説明を付けてくれるんだろう」
「もちろんよ、つまりね」
「いや、いい。もういいよ。さすがにこれ以上は、その、キツい」
「あらあら……」
残念そうな顔をする永琳。
意外と嗜虐的なのよねぇ、永琳ってば。ウドンとかいうイナバも気の毒よね。いつも弄り回されて。……あれ、ケウドンだったかしら。
「だけど、一つ聞かせてくれ。なんで、今なんだ?」
「はい?」
「私が、えっと『超健康な普通の人間』だったとして、だ。――おい輝夜、下向いて笑ってるのバレバレだぞ――じゃなくて、なんで今になってそんなことを教えてくれるのかって思ってさ」
そりゃ、今日が卯月の一日だからに決まってるじゃない。流行の最先端よ。
……なんて種明かしをしたら、妹紅はどんな顔を見せてくれるのかしら。
ちょっとゾクゾクしちゃうわね。
「それについてなんだけどね」
と永琳が意味深な顔つきになる。
そろそろネタばらしをするのかな。
ゴクリ、と妹紅が喉を鳴らす。
「あなたは確かに超健康で長生きだったけど、もうそろそろ死んでもおかしくないのよ」
『えっ!?』
妹紅と私の声が重なる。
私たちは永琳を見て、それから顔を見合わせた。
なによそれ、まだ続けるの?
「ど、どういうことだよ……」
「言った通りよ。あなたは自分が何度も生き返ると思って、自分の命に無頓着だったかも知れない。うちの姫とも何度も殺し合いと称して派手にやり合っていたし」
永琳はチラリとこちらを見て、また妹紅のほうへ視線を向ける。
「だけど、何事にも限度というものがある。限界というものがある。……永遠なんて、ないのだから」
そこだけはひどく低い声で、永琳は言った。
春のあたたかい空気に満ちていたはずの客間が、不意にすっと翳ったような感じがする。
「――まあ、薬師として、それだけは言っておきたくて。それが今日だったのは、たまたまかしらね」
「お、おう……」
永琳は落ち着いた声に戻って手をパチリと合わせ、にこやかにそう言った。
対する妹紅は、少し顔色がよくない感じだった。
「私の作った薬が、廻り廻ってあなたを不老不死にしたのだ、と思っていたのでしょう。正直、私はそれを敢えて訂正せずに、嘘を信じ込ませたところがあった。姫の――輝夜の無聊を慰める相手として、藤原妹紅、あなたが適任だと思ったから」
「……そうかい」
「でも、良心の呵責に耐えかねて……なんて言っても信じてはもらえないでしょうね、ふふ。あなたが亡くなったら、きっと輝夜も悲しむと思うし」
「はぁぁ!? な、何言ってるのよ永琳!」
思わぬ流れ弾!
妹紅が「そ、そうなのか?」とか言いながら私を見てくる。
こっち見んなバカ!
永琳は口元に手を当て、クスクスと笑う。
あ、やっぱ性格悪いわ絶対。
「ふ、ふん。話はもう終わりかい。なら、私ゃ帰るよ」
妹紅はそう言って立ち上がった。
無造作に伸びをする。
私たちを見下ろすようにして、ため息を吐いた。
「……何を言ったものやらわかんないけど。まあ、忠告は受け取っとくよ。じゃあな」
妹紅は、それだけを言うと開いた障子から庭へと降り立つ。
その背中に向かって永琳が、「くれぐれも、お気をつけて」と声を掛けた。
◆ ◆ ◆
「いや~、永琳、迫真の演技だったわね」
妹紅が去って後。
私は永琳の肩に触れて、ねぎらった。
正直、最後の方はホントに演技なのかと思ってしまうくらいの迫力だった気がする。
「あいつも、柄にもなくビビってたし。……あ!」
何か引っ掛かると思ったら、アレだ。
種明かしするの忘れてた。妹紅に。
「あーもう! 永琳が変なこと言うからー」
“卯月馬鹿”とかいう行事≪イベント≫なのよ、と教えてあげたら、さぞかしあいつの面白い表情が見られただろうに。
肝心なところでツメを誤ってしまったような、残念な気持ちだ。
「まったく、種明かしはどうしようかしらね、永琳。……永琳?」
そこで私は、先ほどから一言も永琳が話していないのに気づいた。
永琳の横顔は、気味が悪いほどの無表情で。
「…………輝夜」
ぽつり、と。
永琳が言う。
「な、なあに?」
「一つだけ、補足し忘れていました」
永琳はゆらりと立ち上がり、客間の出口へと向かう。
私は座ったまま、その場を動くことができない。
ただ永琳の背中をじっと見つめるだけ。
「……偽薬効果というのは、それが被投与者に知られると、失われてしまうのですよ」
乾いた声でそれだけ言って、永琳は振り返らずに客間を出ていった。
えっと、どういう意味だろう。
……嘘よね?
――永琳、それも嘘なのよね……?
~完~
永琳は普段から真顔で冗談言うけど言った後のフォローを一切しないから嘘はつかないって認識を持たれてそう