雨と埃だけ食って辛うじて生きる

未見映画レビュー集 またの名をエイプリルフールだから悪ノリ

2016/04/01 02:48:51
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「霊夢、エイプリルフールだぜ。何かやれよ」
「じゃあ、ここに、買ったはいいけどまだ見てない映画があるんだけど」
「ふんふん」
「これを未見の状態でレビューするわ」
「何でそんなことをお前……」


『ダントン』監督:アンジェイ・ワイダ

「イケメンが裁判で負ける」
「シンプルすぎるわ」
「フランス革命期の政治家、ダントンとロベスピエールの政争を描いたものね。ダントンは裁判で負けてギロチン処刑されるのは分かってるから、演技が見所。たぶん。某漫画家さんがツイートしてて、慌てて買ったもの。ツイッターで話題になったら、アマゾンから無くなったりするからね」
「幻想郷にはツイッターもなければアマゾンもないだろ」
「紫がアマゾンギフト券配ってたけど……」
「それはなんというか、実に現代的な犯罪だな……」
「それはそれとして、このパッケージの俳優の人、めっちゃ格好いいじゃない。何人かしら」
「フランス人だろ。フランスの映画なんだから」
「実はフランス=ポーランド映画よ。元は戯曲で、戯曲はロベスピエール視点で革命寄り、つまりフランス的な見方をしてるんだけど、映画はダントンの視点で、反革命的、共産主義に偏りすぎていたこの当時の政治を危険視してる見方をしてるみたい。つまり、ポーランドから、ロシアに対する危機感を示しているかも、というわけ」
「それ、映画についてた小冊子の受け売りだろ。見てもないくせに」
「その通り。受け売りついでに言うと、反ロシア的な意図はないそうよ。『ポーランドの現代史に合わせてはいない』ですって。ついでに主演の人はフランス人よ」
「結局フランス人じゃないか……」



『ヴァージン・スーサイズ』監督:ソフィア・コッポラ

「ガーリーな映画っぽいわ」
「ロリコンめ」
「映画を見て、そういう言い方の評価をするのは日本だけよ、たぶん」
「お前、『エコール』とかも見てたじゃないか」
「ごほん、ごほん。さて。これはガーリーな可愛らしいピンク色のパッケージに、五人の姉妹が主人公と、とってもガーリーだけど、どうやら五人が五人とも、自死してしまうらしいわ。で、その原因が分からない。たぶんだけど、作中でその秘密が明かされることはないんじゃないかしら。どうして死んでしまったのか、という感じの、少女期ならではの、読めなさというか、不安定さというか、そういうのよ。たぶん。というか、そういうのを期待して買ったんだけど」
「ふんふん。少女ってのは不安定でバランスが悪くて、だからこそ可愛いんだけどな!」
「その通りよ。何がロリコンよ。東方シリーズなんて敵も味方も何年経っても歳を取らない少女ばっかりじゃない。東方シリーズやってる奴こそロリコンよ」
「お前……」
「ついでに言えば原作の作者が」
「それ以上何も言うんじゃない」



『哀しき獣』監督:ナ・ホンジン

「韓国映画よ。韓国映画と言えば、バイオレンスなアクションが魅力だから、これもそういう映画じゃないかしら」
「韓国とか中国の映画と言えば、反日映画を作ってるってイメージがあるが、大丈夫なのか?」
「あんたね、あんたは適当な知識しかないんだから。韓国の映画は、アジアの血というか、アクションがどれも凝ってて、見てて飽きないわよ。少なくとも、漫画やドラマ原作の、どうしようもない映画ばっかり作ってる日本の映画よりはよっぽどマシよ」
「映画については何も言えんな」
「韓国映画で言えば、『甘い人生』のイ・ビョンホンがめっちゃくちゃ好きよ」
「めっちゃくちゃか」
「あれもだいぶバイオレンスな映画で、拷問シーンはあるし、血まみれになってスーツが泥だらけで走り回るけど、そこがいいの」
「お前な……」
「そう言えば、韓国映画ってどれも拷問シーンあるわね。好きなのかしら。それはそうとして、『哀しき獣』は主人公が借金返済のために危ない仕事に手を貸す映画だから、そういう危ないハードなバイオレンスアクションが楽しめるんじゃないかしら」



『ハンニバル』監督:リドリー・スコット

「これは有名作だな」
「ええ。『羊たちの沈黙』の続編。ハンニバル・レクター博士が主人公の作品ね。『羊たちの沈黙』は見たけど、紳士的なレクター博士はセクシーだったわね」
「これもそういうものなのかな?」
「友達が見たいって言ったから貸したんだけど、『グロい』って言ってたから、たぶんグロいんじゃない。解体とか食人とかするんじゃない」
「『羊たちの沈黙』では人間の開きが吊されてたもんな」
「そういうのよ。たぶん」
「妖怪はよく人肉を食うが、あれってどうなんだ? うまいのか?」
「試してみる? ところで、最近は犯罪を犯した人が猟奇的なアニメを見てたりするとニュースで『アニメの影響が』なんて言われるけど、『ハンニバル見て人肉したくなった』って言ったらどうなるのかしら。アメリカまで文句言いに行くのかしら」
「そういう映画が日本で販売停止になるだけだから。好きな人に迷惑だからやめてやれ」



『地球に落ちてきた男』監督:ニコラス・ローグ

「お前、デヴィッド・ボウイが亡くなった時に買ったろ」
「ええ。アマゾンが品薄になって大変で……それはそれとして、デヴィッド・ボウイはイケメンね。吸血鬼の映画で、デヴィッド・ボウイが出てるのも見たけど、あれはデヴィッド・ボウイはあんまり出て来なくて不満だったわ。日本の映画にも出てるそうだから見たいわね」
「ふうん……ミーハーなんだな」
「悪いかしら。それはそれとして、これは宇宙人が地球で暮らす話よ。たぶん、ラストシーンは自転車で空を飛んで宇宙人を返すのよ」
「混じってる混じってる」
「SFは実を言うとあんまり好きじゃないのよね」
「ジャンルを否定するのか」
「だって、SFは世界観とかを使ったギミックが基本でしょ。物語の基本がそこにあるとしても、ギミックから少し離れれば、もうそれは物語であって、時々独特な世界観が混じってきても、それが邪魔に感じちゃうのよね。逆に、世界観が前面に出てる作品は、最初のインパクトはあっても、後々はなんか微妙でしょ」
「SFがダメなんじゃないんだ。お前がダメなんだよ」
「うるさいわね。面白いSFって何よ。言ってみなさいよ」
「『リベリオン』」
「それについては何も言えないわ」



『ブレードランナー』監督:リドリー・スコット

「お前、SF買ってんじゃねぇか」
「うるさいわね。『地球に落ちてきた男』を買ったら、アマゾンにオススメされたのよ。ところで、これ、ディレクターズカット版だから、パッケージの裏を見ても、この作品が生まれた経緯とか書いてあるばかりで、あんまり分からないわね」
「要するにたぶん……あれだ。未来都市がどうこうなんだ」
「装甲騎兵ボトムズのウド編の元になったって聞くわね。だとすると、北斗の拳みたいなものかしら」
「穿った物の見方をするな、お前……」



『十二人の怒れる男』監督:シドニー・ルメット

「これはまた名作だな」
「こんな古くて、知名度のある映画、面白くないわけがないじゃない。それに、有名作は必見というか、話の種みたいなものだし、一回は見とかないと」
「安いしな」
「古い映画は安いしね。で、この映画は、陪審員が話の中心で、裁判の物語ね」
「犯人は無実なのか? 真実はどうなのか? 大昔から現代に至るまで、ミステリーでもドラマでもよく使われる感じだよな。それで、これだけ有名ってことは、余程面白いんだろうな」
「ハードルを上げると、えらい目にあうわよ。創作物を楽しむ時の秘訣は、『期待しないで見る』なんだから。面白いと思ってみると、痛い目を見るわよ」
「ああそうかい」
「ところで、裁判の話ってことは、『異議あり!』とか言うのかしら」
「ニュアンスとしては近いんじゃないか。見てないから知らないけど」



『楢山節考』監督:木下惠介

「これは原作を読んだわ。姥捨て山の話なのだけどね。話自体は、母親を山に捨てに行く、ってそれだけの話なんだけど、細かい描写が素敵なのよね。70歳の母は、健康体でいることを『恥ずかしい』って思うの。長生きするっていうのは、食い扶持が続くことで、悪いことだ、とされてるから。歯も健康で全部生え揃ってるんだけど、悪いことだって石に叩き付けて割ろうとするのね。そこに悲惨さとか哀しさとか、強制されてる感じはないの。朗らかなのよ。それがいいの。とても良い」
「へえ」
「ラストは、母親を山へ置いて家へ帰る途中、雪が降ってきて、息子は『姥捨ての後は振り向いてはいけない』って禁を破って、雪が降ったことを伝えに行くの。それは、寒いだろうからとかじゃなくて、単にそのことを伝えたいから言いに行く。そういうことが、明日からはできない。何でもないことが大切だって、言葉にすれば矮小な感じがするけど、そういうことが伝わってくる、いい作品なのよ。これは原作の話だから、映画を見た印象はまた違うだろうけど、いい作品よ。いい作品に違いないわ」
「ハードル上げるなって言ったりいい作品って言ったり、極端だなあお前は」



『マイネーム・イズ・ハーン』監督:カラン・ジョーハル

「主演のシャー・ルク・カーンがいい男でね。インド映画の主人公だから、ちょっと濃い顔をしてるけど、好きな人は好きな顔よ」
「へえ。お前男の顔ばっかり見てるな」
「一番魅力を伝えやすいところとも言えるわよ。シャー・ルクは『オーム・シャンティ・オーム』がとてもいいから、オススメよ。ヒロインもめっちゃ可愛いわ」
「ああそう。この映画の話をしろよ」
「インド映画だけど、ヒンドゥーであることやイスラムであることの哀しみ、それから911の事件のことも絡めたシリアスなストーリーらしいわ。インド映画と言えば歌って踊る、ストーリーは勧善懲悪な感じだから、ちょっと毛色が違ってきそうね。なんか、評価が高いそうだから、買ってみたわ。評価が高いっていうのは、それだけで世の中が物事をどういう目で見てるのか分かるからね」
「安いしな」
「大量生産されて安いしね」



『エスター』監督:ジャウム・コレット=セラ

「ホラーはあんまり好きじゃないの。というか、スプラッタや化け物系ホラーは好きじゃないの。ギャーうわー人がー血がーバーンって感じじゃないの」
「また敵を増やすような発言を」
「これはまた違うホラーってことで、興味を持ったのね。孤児のエスターは養子として引き取られる。良い子のはずなのに、どこか違和感が……って感じ。日常系ホラーって感じね。ぞわぞわっとする怖さの方が好きだから、こういうのの方が興味あるわ」
「じゃあ、今度お前の部屋の前にマネキンを落としてやるよ」
「魔理沙の家の布団の中にカミソリの刃をいっぱい入れとくわ」



『フォレスト・ガンプ』監督:ロバート・ゼメキス

「また名作だな」
「名作は話の種みたいなものだから」
「同じことを言わなくていい」
「安いし」
「それ言ってたら、名作は皆それだけで済むだろ」
「それはそうと、パッケージからはどんな話かは分かりづらいわね。ヒューマン・ドラマらしいけど。そういうのって、安易な家族愛とかで、日本のドラマを避けてる身としては微妙なんだけど、まあ、名作だし。つまらなくても話の種だしね」
「結局はそういう話になるのか」
「つまらなくてもいいのはクソ映画と有名作だけよ。マイナーな普通の映画ってのが最悪よ。話の種にもならない」



『リアリティのダンス』監督:アレハンドロ・ホドロフスキー

「ホドロフスキーだな」
「ホドロフスキーね」
「どうせホドロフスキーだろ?」
「たぶんホドロフスキーよ」



『オンリー・ゴッド』監督:ヴィタヤ・パンスリンガム

「アクション映画ね。復讐劇と書いてあるし、だいぶバイオレンスだって聞いた覚えもあるわ。たぶんそういうものでしょ」
「アクション映画はあんまり言うことなくて困るよな」
「まあね、そうねえ。面白い面白くないはまた別のところだものね。ところで、アクション映画と言えば、印象に残るのは『マッハ!』シンプルに、人間はこういう動きができる、というのを突き詰めたらこうなるみたいなアクションが特徴的。ある意味、アニメや漫画みたいな、非現実的な部分よりも非現実的な動きをする。映画だから、もちろん、見せ方、演出はあるけどね。そういうものには頼らない凄さを見せつける作品よ」
「なんで『マッハ!』の話してんの?」
「見てないからねえ。ところで、家族を殺されて、復讐したらギャングから付け狙われるって、映画版『パニッシャー』みたいじゃない?」
「そういうマイナーな低予算だけど妙に面白い映画を持ち出してくるんじゃない」
「あれはセンスの塊」
「わかる」



『悦楽共犯者』監督:ヤン・シュヴァンクマイエル

「『フェティッシュな自慰機械の発明に取り憑かれた6人の男女』……お前……」
「何よ。常識的にはともあれ、興味を惹かれる内容でしょ。もちろん性的にではなく、興味心に。シュヴァンクマイエルは、『アリス』は見たけど、あれは可愛い中にグロテスクさがあって、良かったわね。これはもっと闇の部分を感じるけど」
「自慰な。霊夢は自慰はするのか?」
「そういう話は夜伽でする。とは言え、これは面白いとは言い難い部分がありそうね。面白い、面白くないという次元ではなく、『スゴイ』という感想を受けそうな感じがするわ」
「私は『スゴイ』よりも霊夢の自慰の方が気になるぜ」
「あんた何言ってんの」



『狂った果実』監督:中平康

「これもまたエロティックそうな映画だな。見ろよ。パッケージの表で裸の男女が抱き合っていやがる」
「あんたねえ。まあ、ともかくとして、石原裕次郎を一回見たくてね。ビッグネームだけど、私たちの世代にはなかなか見ないでしょ」
「私たちの世代って言ったって、分からないだろ」
「まあ、端的に言えば、昭和と平成的なね」
「あんまり言及しないでおこう。で、面白いのか?」
「分かんないわよ。石原裕次郎がどうすごいのかもしらないけど、面白いんでしょ。名優だから」
「名優が出てたってどうしようもないのもあるじゃないか」
「それ以上は言いっこなしよ。日本の若い男性、女性アイドルとかは」
「名前で売るのと名優が出てるのとは別だろ」



『チョコレート・ファイター』監督:プラッチャーヤ・ピンゲーヤ

「『マッハ!』の女格闘家版。しまったわ。ここで『マッハ!』の話をすれば良かった」
「話の組み立てが下手だなあ」
「話とか組み立ててないし。どうせエイプリルフール企画のノリで書いてるとりあえず参加したいだけの適当な映画レビューだし。そもそも見てない映画のレビューって何よ」
「まあまあ。ともかく、『マッハ!』と同じアクションの感覚が見れるとしたら、面白いだろう。な。そういうことにしとこうぜ」
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