「い、一発芸ですか!?」
私の名は宇佐見蓮子。
名は体を表すと言うけれど、この名前は私のどんな体を表しているのかしら。
まあ、月を見るのは好きよね、そのくらいかしら。
「蓮子氏〜〜〜〜頑張るんですぞ〜〜〜〜」
「ちょ、メリーうるさい! ってか、すっかり出来上がっちゃってもう……」
この春、私は相棒のメリーと一緒に就職した。
ごく普通の印刷会社で、ある時私達のサークルで月見会を企画した際に、ビラやポスターを印刷してもらったのが、この会社と出会った切っ掛けだった。
実は、なぜメリーもこの会社に居るのかは分からない。 奇跡的な偶然なのか、彼女に仕組まれた事なのか。 私は別にどうでも良いのだが。
「蓮ちゃんの! ちょっと良いとこ見てみたい! ソレぱーぱらっぱっぱっぱらぱー」
「メリー、どこでそんなの覚えたの!? 後半がポンキッキー○じゃないの!」
\ドッ ワハハ/ \いいぞー、面白いぞ君たちー/
私達は、新人歓迎会という行事に呼ばれてここにいる。
普段酒を呑むのはメリーと一対一ばかりだった私は、知らない人ばかりの騒がしい宴会に気疲れするばかりだった。
酒を入れつつ適当に会話をこなして、宴の終わりまで穏やかに過ごそうという空気が私の中で出来上がりつつあった所で、これである。
「蓮子ー! 一発がダメなら、二発でも三発でも良いのよー!」
「意味分かんないから黙ってなさい!」
\ドッ ワハハ/
一発芸!
イマドキ!?
ノータイムで!?
日本の宴会には(他所の国の宴会なんか、メリーの故郷以外知らないけど)こうした悪習があるとは聞いていた。
しかし絶滅したとも聞いていたし、私の関わり合いになる世界とは縁の無い風習だと思い込んでいた。
「エル・ボー・ヒジ・ニー! 愛 LOVE 蓮子!」
既にメリーの方が面白いんだからお前がやれよとか、今更だけど就活失敗したなダメダコリャとか、色々な感情が渦巻いて、脳を掻き回す。
しかし無理だと拒否するのも難しい雰囲気だし、何よりメリーに馬鹿にされてしまうのは癇に障る。
「や……やりますよ、やりましょう」
「おおをを〜」パチパチパチパチ
「良いわよ蓮子〜! 既に面白いぞ〜!」
何を見て言ってんだよ。
「え〜、それじゃ一席……コマネチッ!」
やッべぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
これはもうどうしようも無いと思った時、メリーが咄嗟に口を開いた。
「か、か〜ら〜の〜?」
助け舟出せよ!!!!
もう私にはどうしようも無い事が分からんのか!!!!
一瞬凍りついた社員の皆様も、メリーの一声でハッとしたように期待の眼差しを向けている。
「かっ、かーらーのー……」
見えるわ。 私と彼らの生きる世界を隔てる境界が。 体育会の世界とは交われないのよ、私。
この境界は、『からの境界』と名付けた。
「かーらーの〜〜〜……!」
誰か止めろよ!(泣)
「かっ、か〜ら〜の〜〜〜」
私は、右手を両胸に優しく被せ、左手を股の辺りに添えて、憂うような表情を作り、こう言った。
「ヴィーナスの誕生」
「ぶっふふ、蓮子、似てる(笑)」
ど
こ
が
だ
『あーあれね!』みたいな顔をしている人、明らかに分かったふりをしている人、分からないから他の人に聞いている人、携帯で検索して、一拍空いてから笑っている人、などなど……。
この反応で、とりあえずお友達になれそうな人をフィルタリングできたのが、今回の収穫だったかしら……。
この後の事は、よく覚えていません。
私の名は宇佐見蓮子。
名は体を表すと言うけれど、この名前は私のどんな体を表しているのかしら。
まあ、月を見るのは好きよね、そのくらいかしら。
「蓮子氏〜〜〜〜頑張るんですぞ〜〜〜〜」
「ちょ、メリーうるさい! ってか、すっかり出来上がっちゃってもう……」
この春、私は相棒のメリーと一緒に就職した。
ごく普通の印刷会社で、ある時私達のサークルで月見会を企画した際に、ビラやポスターを印刷してもらったのが、この会社と出会った切っ掛けだった。
実は、なぜメリーもこの会社に居るのかは分からない。 奇跡的な偶然なのか、彼女に仕組まれた事なのか。 私は別にどうでも良いのだが。
「蓮ちゃんの! ちょっと良いとこ見てみたい! ソレぱーぱらっぱっぱっぱらぱー」
「メリー、どこでそんなの覚えたの!? 後半がポンキッキー○じゃないの!」
\ドッ ワハハ/ \いいぞー、面白いぞ君たちー/
私達は、新人歓迎会という行事に呼ばれてここにいる。
普段酒を呑むのはメリーと一対一ばかりだった私は、知らない人ばかりの騒がしい宴会に気疲れするばかりだった。
酒を入れつつ適当に会話をこなして、宴の終わりまで穏やかに過ごそうという空気が私の中で出来上がりつつあった所で、これである。
「蓮子ー! 一発がダメなら、二発でも三発でも良いのよー!」
「意味分かんないから黙ってなさい!」
\ドッ ワハハ/
一発芸!
イマドキ!?
ノータイムで!?
日本の宴会には(他所の国の宴会なんか、メリーの故郷以外知らないけど)こうした悪習があるとは聞いていた。
しかし絶滅したとも聞いていたし、私の関わり合いになる世界とは縁の無い風習だと思い込んでいた。
「エル・ボー・ヒジ・ニー! 愛 LOVE 蓮子!」
既にメリーの方が面白いんだからお前がやれよとか、今更だけど就活失敗したなダメダコリャとか、色々な感情が渦巻いて、脳を掻き回す。
しかし無理だと拒否するのも難しい雰囲気だし、何よりメリーに馬鹿にされてしまうのは癇に障る。
「や……やりますよ、やりましょう」
「おおをを〜」パチパチパチパチ
「良いわよ蓮子〜! 既に面白いぞ〜!」
何を見て言ってんだよ。
「え〜、それじゃ一席……コマネチッ!」
やッべぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
これはもうどうしようも無いと思った時、メリーが咄嗟に口を開いた。
「か、か〜ら〜の〜?」
助け舟出せよ!!!!
もう私にはどうしようも無い事が分からんのか!!!!
一瞬凍りついた社員の皆様も、メリーの一声でハッとしたように期待の眼差しを向けている。
「かっ、かーらーのー……」
見えるわ。 私と彼らの生きる世界を隔てる境界が。 体育会の世界とは交われないのよ、私。
この境界は、『からの境界』と名付けた。
「かーらーの〜〜〜……!」
誰か止めろよ!(泣)
「かっ、か〜ら〜の〜〜〜」
私は、右手を両胸に優しく被せ、左手を股の辺りに添えて、憂うような表情を作り、こう言った。
「ヴィーナスの誕生」
「ぶっふふ、蓮子、似てる(笑)」
ど
こ
が
だ
『あーあれね!』みたいな顔をしている人、明らかに分かったふりをしている人、分からないから他の人に聞いている人、携帯で検索して、一拍空いてから笑っている人、などなど……。
この反応で、とりあえずお友達になれそうな人をフィルタリングできたのが、今回の収穫だったかしら……。
この後の事は、よく覚えていません。
飲み会なんて飲み会なんて!
私達も大変でな、なにせヤツラときたら一日で大和の国の一年分を消費するのだ(笑
こちらに来ることがあれば、我々神霊廟一同で歓迎の宴を催さんでもない。連絡を。