「うむ、これは酷いな・・・(苦笑」
それは太子様が見た直後に答えたものである。
私こと霍青娥が外の世界からケーブルをひっぱってきて神霊廟の私の部屋にノーパソをネットダイヴさせ「くーりえの掲示板」を見た直後。
すぐにでた答えが酷い、で私は思わず微笑んでしまった。
フレッツ。
このレトロすぎるワタシ好みのサイトの掲示板では「東方Projectと呼ばれる作品のSS書きと呼ばれる人たちが集まっている」のだけれど、これが実に不可侵なのだ。
「私達のことがこうも外の世界で羅列されているのか。青娥、君は良くみるのかな」
「好きだといえば好きでしょうね」
「うへぇ(笑」
「今日は多少趣が違う・・・・・・ああ、エイプリルフールというヤツですわ。だからちょっと奇作が多いようね」
私はそこに羅列されている幾つかをクリックして太子様にみせる。
「プログラマーというのがこういうのを作っているのか。すると、この小人のようなヤツもサイトを作ると」
「そういう宣言をわざわざ他人のところでするのが、実に絶☆頂☆的☆嘘☆」
「東方マスター君にくだらんシンパはくだらんシンパしか産まないという事を教えてやらねばならんな」
そういうと、太子様は私に自分の言うとおりに打ち込んで投稿せよなどというので、コメントをつけておく。
スーパーハカーに特定されるわねー、などと私が無駄に谷間を見せながらカキコミが終わった事を教えると、太子様はそれを無視して「爆発100選」なるタイトルをクリックした。
「100人もここでは書いているのか、小説を」
「無料ですわよ。ついでに100人では足りませんね」
「文章書きなど、我々が絶賛政権中の頃は大した職でもなかったが」
「今でも大した職でないですわ。この手の文化モノだと1番優れているのが造形師か絵を書く存在でついで作曲家、そのずっと下の方に文章書きがいます」
「書物をかきつらねるのも大変なものだが」
「人の努力は外の世界も我々も踏みにじるものでしょう」
「それ君だけだからね」
「え」
100人の爆発をのせたというそれは、もはや爆発をしてないのではないか?
という聖徳大疑問に変わり、しまいには寺が燃えている事を無視して突っ込んでいる物部様という文章を見て
「あー、外の世界でもそういう事になっているのか」
「むしろ外の世界こそそうなっているような」
「説教が必要である」
「まぁ、私はよしかちゃんが愛らしいのでいいけれど。ありがとうございます」
「君ィ・・・・・・」
と訝しむ太子様を無視して、谷間を見せながら次に移ることにした。
「レビューというが、レビュー元がわからん以上なんともしがたいなこれは。元が読めぬ」
「URLがありますから、どれか飛んでみます?」
「同人誌、とは」
「色々説明するのが面倒くさいのですけれど、商業ベースがない個人出版本というのが大原則ですわね」
「我々の作品もあったりするのか。外の世界ではこのインターネットというので我々を良く見ているそうだが」
「太子様大活躍ですわよ」
「マジで(笑」
そういうと、私はタンスの下の方から、太子様が出ている本をあらかた並べてみた。
そして、太子様は黙ってしまった。
「私、それ胸見えてるね」
「内蔵見えますわよ、最近内蔵見えないようにするよう規制がかかったのですが」
「ないぞ・・・・・・あ、ああ、臓器ね」
「よしかの臓器は腐食処理と直々に私が掃除してますからとっても綺麗でまるで処女のようなのです。まぁ、同人誌においては誰の臓器かなんてこだわって描かれることありませんけどね。すごく大事な部分ですのに。まぁ、臓器を見ることで興奮ができるという事自体においては大いなる同意を示しますが、しかしその先が少々雑というか。近年においては多少リアルを見いだせますが、真なるツボや臓物の魅惑や何よりも触れる質感にはおいつかないのが残念ですわ。太子様もそう思いません?」
「君の臓器に対するこだわりはわかった。私にはノーサンキューだ」
「アメリカ太子感2014?」
「頼むから何を行っているのか説明してくれ」
「あら、説明が必要?単刀直入に行ってしまえば、内部構造においてもっとも重要なのは汁感つまり」
「ごめん、説明なくていい」
私は同人誌のひとつページをめくる。
「あ、これなんか途中まですごく太子様っぽいのよ。『そして見え始める、11人目の欲。私にこんな下品な欲があるなんて――』」
「ちょっと待て下品な欲ってなんだ」
太子様は本を私から脱兎のごとくぶんどると、メロスは激怒したより激怒した
「ないからな!『火をつけた』じゃないからな!火をつけるのは物部の役目だろう!!なんかおかしな所にイヤリングついとるぞ私!!!」
「もうそういう定番ネタしちゃってー」
「大体がしてこれでは人体を内部から破壊しているではないか!なんかそれで喜んでいるぞ私!!」
「あ、それ、ほぼ十中八九破壊されて喜びますから。だからリアルが無いと申したのです手前より奥って珍しいのにねぇ・・・・・・あ、でも私このセリフ好きですわよ『まるで最初っからXXXの為に存在する様な心地よさっ!』言われてみたいものでしてよ、ねぇ太子様」
「こんなのばかりなのか私の活躍は!?」
「そーでもないのですが、わざとそういうのもってきました」
「同人誌、滅すべし!!」
「あ、それすごくジンジャスレイヤーっぽいです」
太子様は怒りに狂ってまるでこれら同人誌の後半戦のようにキャラがかわりながら時間をかけてタイピングをした。
「もうちょっとマイルドにしましょうか。まな板ですって」
そういって私はクリックする。これは多少小説っぽい内容になっていた。
「まな板というのがハナから暗号めいているな」
「ようするに、胸が女性なのに小さいという体のコンプレックスについての事ですわね」
「私は大きいぞ」
「ボーイッシュな外見の割に、同人誌でも大きめなこと多いですわよね」
「同人誌の事はもうよい」
「もっとそれだけで一作書けてしまうぐらい書きたいのですけれど。太子様の胸について語る、という内容で投稿しましょうか?」
「やめれ」
「うぃ」
私はこっそりと太子様の胸の大きさについて言及して、次の投稿にうつる。
「かわいい妖夢ちゃん・・・・・・白玉楼の庭師にも固定のファンがいるのか」
「かなりえげつない連中ですわよ。界隈の中でも私達に匹敵する危ない連中ですわね」
「ん、投稿主が魂魄妖忌ではないか。行方不明の」
「あ、それウソですわよエイプリルフールですし・・・・・・」
「娘が可愛そうだと思わぬのか。いや、この文章を見るに思っておらぬな。忠告しておいてやらねば」
「それはだから偽物で」
「本物かもしれぬではないか」
「ウソをウソと見抜けないヤツにはインターネットを使うのは難しい。このセリフ、おそらく私結構言わされてそうですけど、改めて」
「おい、どこに向かって喋っている」
タイピングに大分なれたらしい太子様(さすがだわ)はいらぬお世話をしてマウスを動かし始める。
どうやら私の操作をみて感覚をつかんだらしい。あなどれないデジタルの奴隷の素質あり。
「お、鳥獣なんとかというバンドについて語っているのかな、ここでは」
そういって、レミリアが良さを語るという場所をクリックする太子様。何故かやたらと大きな音を鳴らす。
「・・・・・・ん、なんだ、教えぬというオチなのか」
「ウチでも屠自古様がハマってらっしゃったと思いますよ」
「そうだったなぁ。ここで知識をつけて話せるようにしてやろうと思ったが」
無念、といいながら続いて走れ妖夢なるスレッドをクリック。
途中までは有名な小説のパロディだったようだが、途中から外の世界でアキバ系と呼ばれる人種の話になっている。
「また魂魄妖夢が酷くかかれている・・・・・・」
「さっきから私の説明無視しないでくださる?」
「すると、我々神霊廟に住まう者達の扱いも酷いのか」
「業界随一。日出る処のクソのような扱い。私なんてグロテクスのせーがなんて呼ばれてましてよ」
「それは正解である」
「おぅふ」
「断じて正解」
「もっと言って・・・・・・」
私は谷間の長さを3センチほど多くしてやるが太子様は無視してタイピングを始めた。
また堅苦しいことを書いているので、私は最近人気のまどマギについて推奨されているのを画面に向かって谷間を更に1センチ強調しながら言及しておいた。
「何故画面にむかって」
「欲求不満なので」
「そうか、それは解決してやらねば」
太子様は突然左手で私のだらしなく開いた谷間に手を突っ込みながら、右手でマウスを動かしはじめた。
左手のマウスがトラックボールにひっかかったが、私は無視する。
「ほう、正邪が演説をしているぞ。実に浅はかだが」
「太子様まさか」
「説教である」
「はいはい」
私は説明するのも面倒になってきたので、あらかた太子様が満足気な顔をしたところで私がマウスの主導権を握る。
ちなみに、太子様の左手の主導権も既に私のものだ。
ボリューム。
重圧でコントロールしてやれる。房中術においては基本ね。
「そろそろ飽きてきたな、あと2つ3つ見て寝るとしよう」
「起きたらまた見てまわりますの」
「いやー、そこまではしたくないな」
「あら、エイプリルフールというのはどこも趣向だらけで面白いですのに。私、徹夜しちゃいたい気分でしてよ」
「一人でしたまえ」
「んもう、つれない」
私はとりあえず適当に、SSが書けない理由について語っていそうなところをクリックする。
「この艦これというのは?先のレビューでもチラリと見えたな」
「これのせいで幻想郷が幻想入りしそうなのですよ」
「なんと」
「輝針城の連中、かわいそうに。付喪神な戦艦が戦いあいながらクソレズしたり提督と夜戦するゲームなんですけれど、見事に輝針城一派は影が薄くなってしまったのです」
「我が復活のタイミングに狂いはなかったか」
「や、正直我々もあんまり良い戦果があげられてないのですけれどね。悔しいですけど」
「そうか、我々ボディは素晴らしいのだがなぁ」
そういって太子様は抵抗を始めたが、私は逃さない。手首を軸にして押し付けて抜け出せないようにすると太子様は小さくイテテとつぶやいた。
「しかしまぁ、こうして書けなくなっているというのは酷く怠惰である。少し元気づけておかねば」
「お優しい太子様」
「ついでに宣伝である。正邪の事を言ってられぬ、我々も支持を集めねば」
「そういうこと言ってしまうと、人気下がるんですのよ」
「オフレコで」
「あ、これボイスレコーダーでとってますので、後でここの掲示板に投稿しておきますから」
「嘘だよね?」
「ふふ、エイプリルフールですから」
太子様は少し怯えながらも、きっちり宣伝をした。
右クリックをして私は更新する。
すると、何やらアリス・マーガトロイドらしき日記の投稿があった。
「日記を公表する時代なのか。昔は男がすなるニキというものありと言ってだな」
「ニキ?じゃあ下の野獣先輩ネタみましょうか」
「それも日記なのか?まぁ、それはとりあえずアリスの日記を見てからだ。隠された部分というのはそそる」
「同人誌でもしょっっちゅう男の欲望叶える太子様らしいですわ」
「同人誌の話はやめれ(笑」
内容は途中までは日記風なのだが、小説になって終わるというものだった。
「ポエムなのかこれは?」
「私もわからないジャンルですわ」
「一応訪ねておくか」
そういいながら、太子様は右手だけでタイピングをする。
左手が私の谷間の中間辺りから抜け出せないから。
そして、先の宣言通り2つ下のブン屋のあれこれをクリックする。
「うん、これはどういうことだろうか。これについてだけ説明することを許可する」
「ええと、淫夢ネタというものですわ。そういう同性愛ビデオのセリフや仕草が外の世界では大流行ですの」
「どのぐらい流行しているのだ」
「私達が遣隋使派遣して日本を世界に広めようとした行為の5倍ぐらい広まってますわね」
「すごい」
「あ、太子様。せっかくなのでコメントに『やったぜ。』と書いておいてくださいね」
「え、何故だ」
「いいからいいから」
「ふむ・・・・・・あ、せーがよ。ちょっとお茶を持ってきてくれ、見ていたら喉が渇いた」
「何か飲み物もってくる。ちょっと待ってて」
「えーっと、うい(笑」
太子様の左手を上に突き上げるようにして抜き取ると、少し濡れていた。
私はその様をうっとり見届けると、仙人ダッシュで台所まで向かう。
サッー!(迫真)
戻ると両手が自由になった太子様が少しびっくりした様子でタイピングをやめてマウスに手をかけていた。
「早いではないか」
「秒速5センチメートルでとってまいりました」
「?」
「おまたせ!烏龍茶しかなかったけどいいかな?」
「あー、いただきません」
「どうぞー・・・・・・え?」
「話の流れ的にそれ、薬物が入っているだろうが」
「テヘペロ」
「セクシーでないからな」
「まったく、散々人の素晴らしい部分をいじっていた人が言う言葉ではありませんわ」
「・・・・・・まぁ、確かに」
続いて太子様はいらぬお世話をいくつかしていく。
知らぬ探しものにわざわざ知らないと答えたり、飲み会について語りはじめ勧誘をしたり。
久々に何か楽しんでいるような太子様を見た気がする。
あ、この人ネットで人生ダメにするタイプね。
ただ、唯一違うのは
「そろそろ私は眠い。次で最後にしよう」
と、どうやらネット人間の昼夜逆転まではまだしていない事だった。
「最後はこの三日月夜というのにしよう」
「え、それ明らかに長いのですけれど」
「いいのだ、なんとなくこれはまともそうだ」
そう言って太子様はその文章を10人同時に処理できる耳をもった脳でもって速読した。
「2001年ごろはこうしたモノが流行っていたのか」
「サバイバルブームですわね。割りと人がコロコロと死んでしまう」
「ふむ、好きそうだな霍青娥」
「霍青娥、わりと好きです」
「しかしだ、4月1日がすぎたら消してしまうそうだ。何かの賞の二次選考まで通過したのだろう、この人物はプロなのか?」
「さて、どうかしら?この掲示板においてはかなり人気の高い方ではあったと思いましたけど」
「ふむ・・・・・・そうか」
太子様は突然立ち上がり、
「私も負けてはいられぬな!今日から私も何か書きためるとしよう」
と、キャプテン翼が面白かったからサッカー選手になろう、みたいなことを言い始めた。
私が谷間を再び見せるが無視したので、太ももをはだけてみせると若干野獣の目をさせたがすぐに目線を変えてパソコンの画面を指さす。
「ふふ、こうして多くのものたちがなんらかの形で書を書き連ねているのだ。私にもできる。見ておれ、私が小説ならぬ大説と呼べる一作をご覧入れよう!」
「そ、そうですかがんばってくださいね」
「君もたまげると思うよ。完成の暁にはこのサイトにまたアクセスだ!」
「ま、それはいいんですが、とりあえず大説はやめたほうがよくってよ」
太子様はその賞をとったという小説に礼をした後、何故か持ち込んでいたパジャマに着替え始めた。
生着替え。
私は一部同人誌と同程度の実は豊満あっぱれボディを、じろじろと仙人ドライブ(超高速移動)を駆使して隅々まで見た。
あ~捗るわ~、と外界で人気の艦隊これくしょんのセリフをぶつくさ言っていると、太子様は私の布団に潜り込んでしまった。
「あ、本当に寝るのね太子様」
「うん。寝不足では小説は書けぬ。目指せ大賞だからね」
「太子様、きっとSSが書けないって現象を理解されると思いますわ」
「う・・・・・・ま、まぁいい。それじゃおやすみ」
「もう、人の布団を使うって事は、何をされても構わないって合図でしてよ」
「かまわないよ」
「!?」
「私は何をされてもかまわない。ついでに、先ほど妙に左手が快楽的だったからね」
「は、はぁ」
「私も何かしたいのだ(笑」
私は冷静になってしまう。
このままだとなんだかしてやられた感がする。
太子様のカモーンって顔が気に食わない。
おかえしとばかりにパジャマのボタンが上4つぐらいはだけていて下着をつけてないのも気に食わない。
そこで、私はエイプリルフールを逆にしてやることにした。
つまり、さっきは嘘だといったけれどもありゃ嘘だ、という事。
ボイスレコーダーでとった音声を元に、掲示板に投稿する。
私は仙人ドライブ(超高速タイピング)を駆使して一気にたちあげ、太子様が起きた後に気づきにくいように先ほどの爆発100人の中から適当に名前をひとつ借りてハンドルネームにして投稿する。
というより、投稿完了しているので貴方は見ているのよね?
私はお布団INするお!
そこから先に何があったのか書きませんので。
悔しい? いと悔しい??
実に楽しい掲示板だけれど、ひとつだけ、大きな嘘をついて私の・・・そうね、レポートって感じね・・・は終わりにしておくわ。
私達は、いつも見ています(はぁと
直々のお言葉に頭が下がる思いです!
やめろ。
それ以上、真理に近づくんじゃない。
芳香は本当に可愛い。
そして神子様、大きいというならぜひ確かめさせてもらわないとねぇ?(ゲス顔)