やぁ球磨川くん、僕だぜ。みんな大好き安心院さんだ。
ちなみにこの場合の「みんな大好き」っていうのは、みんなから僕、僕からみんなの双方向的なものだからね。ま、「みんな」の中にきみが入っているかどうかは微妙なところだが。
なに?時系列?時系列なんてどうでもいいじゃないか。なんせ僕は1京の――より正確には7932兆1354億4152万3222個の異常性<アブノーマル>と4925兆9165億2611万0643個の過負荷<マイナス>、合わせて1京2858兆0519億6763万3865個のスキルを持つ悪平等<ノットイコール>だぜ?未来だろうが過去だろうが平行世界だろうが自由気ままに行き来できる僕にとっちゃ、時系列なんてあってないようなものなんだから。
さて、球磨川くん。僕はきみにあるゲームに参加してもらおうと思う。
うん、「また」なんだ。すまない。仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。まぁ、僕からしてみれば神も仏も、悪魔も閻魔大王も、ぜーんぶ同じものなんだけど。
えーと何の話だっけ。そうそう、きみに参加してもらうゲームの話だったね。
球磨川くん。今回僕はきみを幻想郷と呼ばれる楽園へと飛ばさせてもらったよ。
まぁまぁ文句を言うのはまだ早い。この幻想郷、いわゆる妖怪、魑魅魍魎どもがごく当たり前のようにいるんだけどね、聞いて驚け、そのほとんどが少女の格好をしているんだよ。
どうだい?少しはやる気になったかい?
まぁ中には齢数千を超えてなお少女を名乗る者もいるらしいが……3兆4021億9382万2311歳の美少女である僕に恋をしていたきみなら十分ストライクゾーンだろう?
そう、これはプレゼントのようなものだと思ってくれていい。あるいはお詫びかな?今まで球磨川くんのことを散々振り回してきたからね。ちょっとした慰安旅行気分を味わってくれたまえ。
とは言え、きみのような過負荷が楽園に永住しようもんなら楽園は楽園でも失楽園になってしまうだろうから、モデルとなったゲームに沿ってゴールを設定させてもらうぜ。
東方紅魔郷。ロリータ吸血鬼姉妹にチャイナ系美少女、メイドに病弱もやしっ子まで勢揃いの、実に球磨川くん好みのゲームだ。まぁジャンルはシューティングなんだけど。
きみには紅魔館と呼ばれる屋敷に忍び込んで、吸血鬼姉妹の姉の方をぶっ倒してもらいたい。実は今幻想郷ではちょっとした問題――否、異変が起こっていてね、それの元凶が彼女なんだ。
異変の元凶を倒す――そう、きみの役目は言わば主人公さ。ま、いつも通りきみは勝てないんだろうけどね。
そうそう、幻想郷における勝負にはちょっとした決まり、ルールがあるんだけど……きみは少女ではないし、教える必要はないか。
それじゃ、いってらっしゃい。
晩御飯までには帰ってくるんだよ。
○
『えー、めんどくさい』
大嘘憑き<オールフィクション>!
と、冒頭の時点で妙に納得してしまいました。