Coolier - SS得点診断テスト

レミフラ

2013/04/01 22:07:13
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[4時限目 水泳実習]

「えぇ~~ッッ」
 フランの世話をするメイドが胡乱げな声を上げた。
「出席するんスか。マジで……水泳実習!」
 フランドールは水着姿で、惜しげもなく姿態を晒していた。
 余すところなく、幼児体型であった。
「妹様……ッ!」
「目立つかァ……やっぱり」
「目立つッつーか、学校のプールに吸血鬼は論外じゃないでしょうか……」
「塩素で消毒してるし……」
「イヤイヤッ 絶対に無理だと思いますッッ」
 ちなみにフランドールは羽根を備えている都合上、背中が大きく開けたセパレート型の水着を着用している。ナイロンの光沢が、丸い腹を浮かせて艶めいていた。
「水であることにゃ変わりねェし、そもそも幼児体型が隠せねェ……ッッ」
 フランはしばし無表情でいた。
「妹様……?」
 何かを考えているようで、実際は何も考えていなかった。
「今日び船幽霊や谷河童でも水質管理にゃウルせェすから。ましてや学校のプールですよッッ」
「…………」
「欠席以外ありえませんッッ」
「そいつぁできねぇ」
「……ッ妹様……」
 妖精メイドはすっかり困ってしまった。
「キビしいこと言うようですが、プールサイドに立った……その時点で」
 俯き、唇を噛んで声を出す。
「妹様の学校生活は終わりです」
「脅すな」
「オドしてません」
 どうにもフランドールには危機意識が足りないらしい。雨の中出掛けるのに慣れてしまって、弱点がマヒしているのかもしれない。
 その時である。地下室の扉が開いた。
「さっ……咲夜さん!」
「妹様。こいつを、受け取っておくんなせェまし……」
 そういって咲夜は恭しく、包みをフランドールに差し出した。
「これは……」
「妹様に、相応しい水着です」

 して、水泳実習である。
「さッぶッ」
「まだ季節じゃね~~よ」
「泳ぐ気しねェ~~」
 口々に悲鳴を上げる軟弱な妖精・妖怪どもを前に、教諭・上白沢 慧音はハハハと笑って号令をかけた。
「整列ッッ」
「まじかよォ」
「コタツ入りてェ~」
 なおも口を閉じない妖精たちだが、こいつらはそもそも脳がお寒いのだという事実を上白沢は知っていた。ゆえに捨て置き、さっさと並ばせる。
「ぶつからないように広がれ」
「オンナ抱きて~」
「(女同士だけど)ヤリ方知ってんの?」
「やめましょうよ今日は」
 がやがやと、一向に騒ぐ声を抑えない妖精どもに、どれ頭突き一発と上白沢教諭が首の体操を始めたたりで、急にしんと生徒たちが静まり返った。
 見るや、そこには見たことのない水着を纏った、フランドール・スカーレットがいるではないか。
「はァ!?」
「ハハハハハハ」
 生徒たちが目を丸くする。
 上白沢教諭は、すっかり声を上げて笑ってしまった。
「そんなものどこで手に入れた。
 ツイッターで人気のマイクロビキニじゃないかッ」
「……はい」
 なんか接頭語付のアイテムみたいなだな、と思いつつ、フランは頷いた。
「学校指定の水着はどうした!?」
 フランは答えなかった。
「なんだ忘れたのか!」
「自分は……」
 ようやく、フランが口を開く。
「記録狙ってますんで……」
 言っちゃなんだが、ものすごい言い訳がましかった。上白沢教諭は笑って済ませて着替えさせるつもりだったが、どうやらそうもいかんらしいとフランへの尋問を開始。
「記録ッつってもいろいろあるわな。どのキロクだ?」
 RT数とかじゃねえの?
「水泳……ッス」
 水泳だった。
「この中で……京アニの今期のアニメに興味を持っているものは」
 何人かが手を上げた。
「ミスティアに……物部か」
 上白沢教諭が、もう一人に声をかけた。
「おい小悪魔、オマエもそうだろうが」
「え……私もですか」
「何言ってる。PVだけでグチョいイラスト描いてたじゃねェか」
「イラストっていうか……個人誌ですけどね」
 おおー、と。ドン引きする声が聞こえた。
「そんなオマエだからこそ、やらなければならぬ役目がある」
 フランを含め以上の四人が、プール際に整列した。
「二位以内に喰い込めなければ、ただちにもっとエロい水着に着替えてこいッッ」
 無茶ぶりもいいところである。これは、この水着は、咲夜が選んだ水着なのだ。
「自由型25メートル。小悪魔に勝てれば立派な婦女子だぞ」
「フランお嬢様」
 小悪魔が、となりに陣取ったフランに告げた。
「体形を一目見ればワカる。あなたの特定層への偏執的な人気でどーにかなる世界じゃない……ペドすぎだろ」
 上白沢教諭が笛をくわえた。
「よーい、セッッ……ハイ!」
 一斉に三人が水に飛び込んだ。
 しかしフランは、スタート台の上から動こうとしなかった。
「どーしたァ!」
 思い出したように、フランはスタート台を蹴った。
 その跳躍だけで、先に泳ぎだした小悪魔のすぐ横に、彼女は着水していた。
「……え!!?」
 25メートルプールの真ん中から、巨大な波が周囲に押し寄せた。
「水泳とは……確か、こう」
 水の中で、闇雲に、やたらめったらに、フランは水をかいていた。
 その勢いたるや、脇のコースを泳いでいた物部とかミスティアとかを軽く波力でプールの外に追い出す程だった。
 訳も解らぬままプールサイドに流される二名。
「打ち上げられたァッッ」
 周囲に甚大な被害をもたらしながらも、フランはただただ、前に進むことだけを考えて腕を振るっていた。
 吸血鬼が水に弱いって設定は、事ここに至り、すっかりどこかへ行っていた。
 たぶんマイクロビキニの効果なんだろう。スク水に式を落ちなくする効果があるとか、そういうのと同じ原理だ。きっと。
 やがて小悪魔もまた濁流に飲まれた。
「ハァ……ハァ」
 息を切らせながら、フランはどうにかして25メートルを泳ぎ切った。
 座礁2、機関トラブル1......
 
 幻想郷地区、快晴。
 ところにより、マイクロビキニ注意……。
フランドールが性的であることが許せなかった。
保冷材
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コメント



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2.39398指導員削除
フリルを腰部と二の腕にあしらった新スクール水着が開発されたらしいぜ。