七曜郷画劇場「クラウディ」

昨今建立された命蓮寺はすっかり幻想郷に溶け込み人里での評判も上々。
近頃は大きな異変も無く人々も妖怪も穏やかな日々を過ごしていたが、ある日命蓮寺の代表である聖白蓮が忽然と姿を消す。
そして動揺する命蓮寺の尼僧たちの元に届けられた手紙。

“お前達の代表『聖白蓮』は預かった。無事に返して欲しければ『毘沙門天の宝塔』を持って今夜の丑三つ時に地底の旧都まで『雲居一輪』一人で来い。”

明らかに罠だと分かっていたが敬愛する姐さんの為、制止する仲間の声を振り切り相棒である雲入道すら留めて一輪は一人博麗神社の間欠泉から地底へと向かう。

襲い来る妖精達、立ちはだかる橋姫と鬼。
それらの障害を越えて旧都に辿り着いた一輪が見た物は、力無く横たわる白蓮とその横に佇む『黒谷 ヤマメ』の姿。
地底に封じられていた頃には共に酒を飲み笑い合った事もある女。
そんな彼女が狂気に走った理由。

57 60 - 雲居 一輪 1000 129 308[コメント]
58 63 56 黒谷 ヤマメ 996 131 324[コメント]

4ポイント。
それが二人の間に決定的な亀裂を生みだした。
「ここであなたを倒して私が幻想郷唯一の“クモキャラ”となるのよ」
「残念だけどそれは決して叶わない願いだわ、ヤマメ」
「ふん、入道使いであるあなたも肝心の入道が居なければただの案山子。その減らず口を直ぐに利けなくしてあげるわ！」
一輪へと飛びかかりヤマメは拳を振り抜く。
しかしその一撃は一輪を捉える事は無く、ただ空を裂いただけであった。
「なっ！？」
「――あなたは一つ勘違いをしているわヤマメ」
「何……？」
自ら尼僧の証である頭巾を取り懐に仕舞う一輪。
「それは“入道使いが使役する入道よりも弱い”という事よ。あなたも分かるでしょ？　妖怪が自分よりも弱い者に従うと思う？」
直後、ヤマメの背中にあった大岩が砕け散った。
一体何が起きたのか。
分かっている事は、ヤマメは動いていない事。
そして、いつの間にか一輪が腰を落とし腕を真っ直ぐ伸ばしている事。

「さて……ヤマメ、この私の“剛拳”をいつまで受け切れるかしら？」

魔改造一輪もの。