Coolier - SS得点診断テスト

君が泣くまで蹴るのを止めない!

2013/04/01 01:24:45
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「咲夜さんの分からず屋!」
「頑固者なのは美鈴の方でしょう!」

 突然の怒号が二つ、ぶつかり合うように静かだった空間に鳴り響く。
 その場に居合わせた当事者二人を除く面々が、何事かと視線を向けることは至極自然なことだった。
 ひとたび声を張り上げた咲夜と美鈴は、以降堰を切ったダムが崩壊するかのような勢いで口論を繰り広げた。

「少しくらいは私の意見も尊重してくれたっていいじゃないですか!」
「尊重すべき意見なら勿論そうするわ。けど、貴女の意見は取るに足らない戯言でしかないのよ!」
「ひどっ! 咲夜さんの考えだって大概じゃないですか! 化石としか言いようのない時代遅れの産物ですよ!」
「な、なんてことを! そんなことを言ったら貴女なんて――」
「お言葉ですけど咲夜さんは――」

「うるさい」

 ぼそりと零したパチュリーの苦言だが、至極尤もな意見でもあった。
 二人が言い争っているこの場所は、本来私語の一つもあってはならない静謐なる聖地、図書館であったのだから。
 多少の私語程度ですら許し難いと言うのに、斯様な大声を以ってしての諍いなど言語道断。
 この図書館を管理しているのが物臭なパチュリーだからこそ苦言を呈される程度で済んでいるのであって、本来ならば、それこそ咎められるよりも早く、つまみ出されてしまうのがオチだろう。

 尤も、いくら物臭だからと言っても限界はある。二人の口論はいつまで経っても収束する様子を見せなかった。
 普段は温厚で妥協的な美鈴と、沈着冷静で自己主張をしない咲夜の二人がここまで荒れるのも珍しい。
 それでなくとも仲の良い二人だ。よほどお互いに譲りたくない議題なのだろう。
 興味がないこともないが、しかし、やはり一番優先すべきは図書館の静寂である。
 二人がいつまでも大声を張り上げている限りは、この聖地に安息は訪れない。

 手元の本に集中出来ない苛立ちが徐々に募る。図書館は静かにするところだ、と説教をしたいところだが、何をするにしてもまずは二人を黙らせる必要があった。
 あれだけ興奮している状態では、何を言ったところで聞く耳を持つまい。
 それこそ、二人に対して絶対的な存在からの言葉でもない限りは。

「レミィ」
「ん?」

 渡りに舟、とはこのことだろう。図書館には渦中の二人の他にもう一人、小さな利用者が訪れていた。
 何を隠そう、咲夜と美鈴の主であるレミリア・スカーレット、その人である。吸血鬼ではあるが。
 主であるレミリアが、従者の咲夜と美鈴に静かにしろと一声命じれば、この騒動にも一応の収束はつくだろう。
 中途半端に終わらせてしまったせいで後の諍いの憂いを残したとしても、そんな後のことなどどうでもいい。
 今は、静かに本が読める環境に戻すことが最優先事項なのだから。

「あの二人を止めて頂戴。うるさくってしようがないわ」
「やぁよ」
「なんっ……!?」

 まさかの拒絶。親友の好で快く引き受けてくれるだろうと高を括っていたパチュリーにとって、レミリアの返事はまさに予想外のことだった。
 他でもない親友の頼みだと言うのに、まるで歯牙にもかけないこの態度はどうだ。
 あんまりにもあんまりな仕打ちに、先程からの苛立ちが募っていたせいもあって、パチュリーもとうとう憤慨を露わにした。

「レミィ、あの二人がどうして言い争っているかなんて知らないけれど、貴女が一言やめろと命じればそれだけで事足りるのよ。それくらい頼まれてくれたっていいじゃないの」
「んー、今良いところだから」

 漫画を片手に咲夜謹製のクッキーを貪りながら、レミリアはなんとも横柄な態度で答える。
 もはやパチュリーの方すら見ていない始末だ。ここまでぞんざいに扱われて、一体誰が憤らずにいられようものか。
 普段は大人しいパチュリーも、ここが図書館だと言うことも忘れ、声を荒げてしまうのも無理からぬ話だった。

「レミィ!」
「もう、パチェも大概うるさいわよ。あの子たちのこと、言えた義理ではないんじゃない?」
「な……」

 なんたる言い草。一体誰のせいでこれほどまでに激昂していると言うのか。完全に自分に非がないつもりらしい。
 自身の態度を省みることなく他者を非難するレミリアに、さしものパチュリーも絶句するより他になかった。
 今にも怒髪が天を貫きかねないパチュリーだが、手元の漫画にばかり意識を向けているレミリアにそんな様子が把握出来ているはずもなく、遠慮のない追い打ちが口から飛び出る。

「それにさぁ、別に私が言わなくても、貴女が言えば済むことじゃないの」
「あの状態の二人が私の言葉に耳を貸すわけがないでしょう」
「そこは頭を使いなさいよ。こんなときくらい知恵を搾らないと、何のために知識を溜め込んでいるのか判らなくなるわよ。ねぇ、知識人さん?」

 言ってくれる。

 レミリアにとってはほんの冗談程度の軽口だったのだろう。
 しかし、鬱憤と苛立ちが積もり積もったパチュリーにとっては、とても甘受できるようなものではなく、浅薄で軽々しい言葉は、さながら薄刃のカミソリのごとき切れ味を以って、彼女の堪忍袋の緒を切った。

「レミィ」
「なに」

 低く、唸るような声だった。
 ともすれば、それは呪詛を唱えるかのような、確かな殺意と怨嗟を孕み、ただ耳にするだけで身震いしてしまうほどの重圧を放っている。 
 尤も、漫画に夢中になっているレミリアに、それを感じるだけの危機感などありはしなかったが。

「私にどうにかしろ、と言うのなら、手段を問わずとも構わないわね?」
「あー? いいんじゃないの? あの子たちを殺して黙らせる、とかでない限りは」
「言質とったわよ。吸血鬼に二言はないわね?」
「しつこいわよ。お好きになさいな」

 今はお前と話している暇はない、と態度で語るレミリアに対して、しかしパチュリーは憤ることなく薄らと笑みを浮かべた。
 否、憤っていないわけがない。その上で、パチュリーはひどく底冷えするような、残酷な笑みを浮かべているのだ。
 パチュリーは怒っていた。こんなにも身内に対して憤りを覚えたのはいつ以来だろうか。
 あれは確か、そう、三日前のことだった。楽しみにとっておいたプリンをフランドールに食べられてしまったとき以来だ。
 怒りの余り、半日ほど口を利いてやらなかったら、わんわん泣き出されてしまったので流石に許してやったが、レミリア・スカーレット、こいつは泣いても許してやらん。

 もはや、図書館の静寂など二の次で、いかにしてレミリアを懲らしめてくれようかと言う考えに終始している気もするが、既に頭の中には、レミリアをとっちめた上に、咲夜と美鈴を黙らせるだけの策が用意されていた。
 レミリアは好きにしろと言った。ならば、そうさせてもらうまでだ。
 例え、それが親友に刃を向けるような手段であったとしても。

「咲夜、美鈴、少しいいかしら?」
「はい!? 何の御用でしょうパチュリー様! 今忙しいので後にしてもらえますか!?」
「申し訳ございません! ただいま立て込んでおりますので、お茶のおかわりでしたら後ほど!」

 案の定聞く耳をもってくれそうにない。お互いに牽制をし合っているせいで、顔さえ向けてくれない始末だ。
 反応してくれるだけまだマシだろうか。
 再び論争に移られては、また次も反応してくれるとは限らない。
 そうなる前に、パチュリーは自分の策を聞き入れてもらうべく、話を切り出した。

「意見が平行線のまま話し合うことほど無駄なことはないわ。少しは落ち着きなさい」
「お言葉ですが、いくらパチュリー様のご忠告でも、有耶無耶にしたまま引き下がるわけにはいかないのです!」
「その通りですわ! これは私と美鈴の問題、中途半端など許されません!」

 仲違いしているのかと思えばこれである。結局のところで、滅茶苦茶気が合ってるじゃあないか。
 やはり、根底では仲が良いのだろう。だからこそ、その反動でこの騒動もここまでヒートアップしたのかもしれない。
 尤も、それで図書館の中で騒いでもいい理由にはならないが。

「だから落ち着きなさい。私は何も、争うな、とは言っていないわ。ただ、やり方があまりにも不毛だと言っているの。お互い譲れないものがある以上、主張はいつまで経っても平行線。決することなどないでしょう」
「それは、そうかもしれませんが、しかし」
「ええ、だからと言って今更主張を取り下げるわけにも」

 お互い、このままでは埒が明かないことに、薄々は気付いていたのだろう。
 パチュリーの言葉を受けて、二人が纏っていた徹底抗戦の雰囲気が幾分か和らいだ。
 その一瞬の変化を見逃すパチュリーではない。頭に思い描いた策を成すために、ここぞとばかりに言葉で仕掛ける。

「そこで、私に考えがあるのだけれど、聞いてみる気はないかしら?」

 顔を見合わせる咲夜と美鈴。双方共に、不毛さを感じ始めていただけに、その提案は魅力的なものだった。
 しかし、相手より先に乗っかろうものなら、論争から逃げ出したとも捉えられかねず、果たしてそれは、自ら負けを認めたことに他ならない。
 懸念はお互いに共通してたらしく、交差する視線がひしと伝えてくる。
 思慮が一致しているのであれば、遠慮はいるまい。二人は目だけで頷き合い、肯定の意思を以てパチュリーに向き直った。

「よろしい、では貴女たちには私が提示する方法で勝負をしてもらうわ。それに勝った方が主張を通す。不毛な口喧嘩を続けるよりは幾らもマシだと思うけど」
「判りました、私に異論はありません」
「右に同じですわ。それで、パチュリー様。勝負の内容はいかように?」

 計算通り。
 頭に思い描いた展開と寸分違わぬ現状に、表面上では平静を装いつつ、胸中では狂気的に口元をつり上げる。
 少しは知恵を搾れと言われた。ご忠告には感謝しよう。
 手段を問わない許可を得た。ならばお言葉に甘えよう。
 こいつは必ず泣かすと決めた。だから覚悟を決めるがいい。
 これより私は修羅と化す。情けも容赦も切り捨てて、阿鼻叫喚の渦中へ誘う。
 哀しいが、友よ……、死ぬがよい。

「レミィにより多く蹴りを入れた方が勝ち、と言う単純な勝負よ」
「ちょっと待てえぇぇぇぇ!」

 ルールを説明したところで、今度はレミリアまでもが声を荒げた。
 無理もない。何の前触れもなく、無関係な喧嘩に巻き込まれたのだ。異議の一つも申し立てたくなる。
 しかし、前触れがない、と言う考えは、些か身勝手が過ぎるのではあるまいか。
 何故なら、レミリアはしかとパチュリーの逆鱗に触れていたのだから。
 勿論、そんな自覚のないレミリアは、完全に自分が被害者であるかのように抗議する。
 が、因果と言うものは己の行いに応じて報いを与えて下さるようで、いつぞの自分が親友に対してぞんざいな態度をとったように、今まさに自分が同様の報いを受けるのだった。

「うるさいわよ、レミィ。半年ほど黙ってなさい」
「黙ってられるか! なんで私を蹴るわけ!? 二人の勝負なら二人に蹴り合わせればいいじゃない!」

 尤もな意見ではあるが、二人を黙らせてなおかつ、レミリアを叩きのめさなければ何の意味もない。
 それに、実際に二人を争わせれば、後に憂いを残す弊害が発生するおそれもある。
 無論、そんな危惧はことのついでで、レミリアをボコにしたいのが理由の大半を占めてはいるが。

「あの二人を争わせて怪我でもしたらどうするの」
「蹴られる私の心配は!?」
「定められたルール外での物理的ダメージなんて物の数でもないでしょうに、何を言っているの」
「いや、確かに死んだりなんかはしないけどさ!」

 いくら死なないとは言っても、痛いものは痛いのだ。
 それに、仮に痛みもなかったとしても、足蹴にされると言う屈辱はとても甘んじて受け入れられるものではない。

「いい? 万が一二人が怪我でもしたら、館の仕事が滞るでしょう。ただでさえワンマンポジションだと言うのに」
「私が怪我したって同じことじゃない!」
「咲夜はメイド長として、美鈴は門番として欠かせない仕事があるけれど、果たして貴女は何が出来るのかしら」
「えーっと……、当主として、館の象徴……、とか」
「大人しく的になってなさい」

 そんなもの張りぼてでも事足りるわ、と若干上目使いをする吸血鬼の頭を小突き、ばっさり切り捨てるパチュリー。
 とは言え、それで、はい判りました、なんて納得出来る者など、例えレミリアでなくともいるはずがなく、ついぞ頑なに拒まれる。
 プライドの塊であるレミリアが首を縦に振ることはありえまいが、しかし、パチュリーは既に言質をとっていた。
 その自尊心を逆手に取った、同意させざるとも応じなければならなくなる、レミリア自身が口にした言葉を。

「私の好きなようにしていいと言ったのは、レミィ、貴女よ」
「いや、それは確かに言ったけど、それでもこんなこと言い出すなんて普通は思わないでしょう!?」
「だったらなんだと言うの? まさか、誇り高い吸血鬼ともあろう者が、一度交わした約束を反故にするつもりかしら」
「このレミリア・スカーレットに二言はない!」
「決まりね」
「うぎ……!」

 自身の言葉を掲げられては、もはや嫌とは返せまい。
 抗議の言葉をなくしたレミリアは放置して、パチュリーが咲夜と美鈴に向き直る。

「さ、レミィも協力してくれるようだし、勝負に公平性を持たせるために設ける制限を話すわね」
「制限、ですか」
「ええ、貴女と美鈴とでは基礎能力が違い過ぎるでしょう。かと言って、特殊能力で見ると貴女に遥かに分がある」
「確かに、身体能力こそ私が上回っていますが、時間を止められてはそれも大した意味を成しませんしね」
「だから追加ルール。美鈴は腰から下にあてた場合のみヒット扱いとするわ。咲夜は全身どこでもあたれば良し」
「なるほど、的を絞ればその分チャンスも減りますからね、判りました」
「そして咲夜、貴女の能力はレミィに接近する際の使用を禁止とするわ。それ以外なら好きになさい」
「妥当ですね。接敵手段に些か不安は残りますが、こればかりは仕方がありませんし」
「二人とも聞き分けが良くて大変結構。最後に一つ。レミィには蹴られた回数をカウントする魔術符を貼っているのだけど、結構思いっ切り蹴らないと反応してくれないの」
「えっ!? いつの間にそんなの貼ったの!?」
「さっき小突いたときよ。だから、蹴り殺すつもりでやりなさい。大丈夫、絶対死なないから」
「ぱちぇえええええええ!」

 もはや逃れられぬ運命らしい。パチュリーがどうあってもレミリアを泣かせたいように、咲夜も美鈴も、お互い譲れないものの為に、どうあっても引くつもりはないようだ。
 牽制し合っていた二人の視線が、レミリアへと集中する。本気の目と言うものは、多かれ少なかれ、必ずどこか箍の外れた様相を呈しているもので、ぎろりと据わった二人の目は、さしものレミリアをもたじろがせた。

「ふ、二人とも、冗談よね?」
「お嬢様を前にして冗談など、畏れ多いことです。お嬢様に対してはいつだって本気ですよ、私は」
「美鈴、私は貴女の主なのよ? 従者が主を足蹴にするのは、畏れ多いことではないの?」
「私はお嬢様のご意向に従うまでです。好きにせよ、と全権をパチュリー様に一任し、それによって下された措置。言うなれば、これはお嬢様のご意思。ならば、従わぬ道理などありますまい」
「そんな屁理屈……」
「お覚悟をッ!」
「ちょ、ま……!?」

 一切の躊躇もない一閃が宙を薙ぐ。完全に機先を制されたレミリアが、ほんの瞬き程度の後に下半身を蹴り払われることは必至。
 主に手を、もとい足を上げる思い切りの良さは流石の美鈴ではあるが、これは忠義から来る一撃でもあった。
 この程度の一撃、レミリアならばものともしないと。この程度の不敬、レミリアならば笑い飛ばしてくれると。
 あくまでレミリアに絶対の信頼を置いているからこそ振り切ることの出来る蹴り。これは、美鈴の忠義の証でもあった。

 しかし、あくまで蹴りは蹴り。喰らえば痛いし、当たれば惨め。レミリアにとってはそれこそ一蹴したいデメリットだらけの一撃。
 その上で功夫の達人である美鈴の繰り出したローキックだ。不意を突かれたレミリアに躱せる道理はない。
 だが――

「! くっ……」
「えっ!?」

 インパクトの直前、美鈴が慣性を無視したとしか思えない動きで身を翻し、瞬時に後退した。
 一体、何が起こったと言うのか。あのまま振り切っていれば、間違いなく先制点をもぎ取れたはずなのに。
 無理をしてまで退いた理由はなんだ。状況が理解出来ず、ふと、蹴り払われる寸前だった足元へ視線を送る。
 すると、そこには鋭い輝きを放つ銀色のナイフが数本突き刺さっていた。
 それを確認してしまえば、答えは見えたようなもの。四面楚歌の状況で舞い降りた味方の存在に、レミリアは思わず笑みを浮かべ、振り向いた。

「美鈴、悪いけど、貴女にお嬢様を蹴らせるわけにはいかないわ」
「咲夜!」

 この館において、最もレミリアに忠誠心を抱いているであろう、メイド長、十六夜咲夜。
 美鈴の蹴りがヒットする前に時を止め、蹴り足に向かってナイフを投擲。
 妖怪にとって法儀済み銀製品の武器はひとたまりもなく、さしもの美鈴も攻撃を中断して退かざるを得なかったのである。

 美鈴の凶刃からレミリアを救った咲夜は、悠然とした姿で主の隣に佇む。その様子のなんと頼もしいことか。
 親友に謀られ、従者に手を噛まれ、そんな裏切りの連鎖の中で、しかし咲夜だけが傍についてくれている。
 孤立無援の主を慮る。これ以上はない忠義だ。感無量に胸を熱くさせるレミリアは、精一杯の澄ました笑顔で褒め称えた。

「良くやったわ咲夜。やはり、貴女は信頼に値する人間ね」
「恐悦至極に存じますわ。それではお嬢様、失礼します」
「えっ――ぎゃっ!?」

 瞬間、レミリアの頭部が弾けた。ぐらつく視界、崩れる体勢、折れる膝。鈍い痛みが後から頭を突き抜ける。
 なにがなんだか判らない。気付けば、ぽかんとした表情のまま、床に倒れているレミリアがそこにいた。

「なるほど、蹴り殺すつもりで、とはアバウトな説明でしたが、このくらいで良いのですね」
「え……? あれ、咲夜……?」
「はい、何でございましょうか、お嬢様」

 おかしいな? 咲夜は味方じゃなかったの? どうして私を蹴たぐるの? わからない、わけがわからないよ。
 やられたことは判っていても、やられたわけは判らなかった。助けてくれたと思った矢先、思いっ切り蹴り飛ばされた。
 所詮は人間の、それも女性の一撃。ダメージなんてあってないようなものだが、しかし、レミリアは随分と疲弊した様子でその身を起こす。
 信じた瞬間に裏切られたのだ、そうもなる。上げて落とされ、焦点が定まらない瞳で咲夜を見上げ、震える声を絞り出す。

「貴女、どうして……、私を助けてくれたんじゃ、なかったの?」
「お嬢様、勘違いして貰っては困ります。私は美鈴には蹴らせないと申したまでです。でなければ、リードを許してしまいますからね」
「や、やめて! 私に蹴りを入れる気でしょう? 美鈴みたいに! 美鈴みたいに!」
「もう蹴りましたが」

 すっかり気が動転しているらしい。最も信頼を置いていた側近にあんな騙し討ちのような真似をされては無理もないが。
 両手で頭を押さえ蹲って震えるレミリアの頭頂部には、赤い「0」と青い「1」の光の文字が浮かんでいた。
 パチュリーが言っていた蹴った回数をカウントする魔術符とやらの働きによるものだろう。
 つまり、今蹴りを入れた咲夜にポイントが入ったため、青文字の数字が咲夜の持ち点と言うことになる。

 まずは、美鈴を抑え一歩リード、と言ったところだ。
 以降は先程のように美鈴からレミリアを守り続ければ点差で咲夜が勝つだろう。しかし、それには二つほど問題があった。
 一つは、明確な制限時間が課せられていないこと。これでは一体いつまで守り続ければいいのか、皆目見当がつかない。
 なお、時間を設けなかった理由は、長い時間をかけてレミリアを苛め抜く為のパチュリーなりの配慮であることを明記しておく。

 そしてもう一つ。むしろこちらが重要だった。前者など比較にすらならないほどの大問題。
 それは、美鈴が相手だということである。

「隙ありィッ!」
「しまっ……! お嬢様――」
「ぎゃうんっ!?」

 風のように速く、雷のように鋭く、その動きはとても常人の目で捉えられるものではなかった。
 時を止めさせる間もなく、電光石火の一投足を以って急接近した美鈴は、その速度を蹴り足に乗せて、必中の一撃を放つ。
 果たして、今度は瞬きする暇さえ与えぬ超高速のローキックは、蹲っているレミリアの腿をあやまたず打ち抜いた。

 どれだけ力強く蹴ったのか。まるでサッカーボールのようにその身を蹴り飛ばされるレミリア。
 殺す気で蹴れとは言われたが、美鈴の蹴りは忠実にそれを実行しているであろう威力を持っていた。
 普段は妥協的で腰が低く、一歩退いた場所から全体を窺う性質の美鈴ではあるが、やるときはとことんまでやる思い切りの良さも持っており、それこそが、一番頼もしくもあり、一番恐ろしいところでもあった。

「これでイーブンですね、咲夜さん。追加点、いただきますよ!」
「く、させるものですか!」

 とは言っても、蹴り飛ばされたレミリアに接近したくとも能力が制限されている以上、美鈴の方が圧倒的に早い。
 まだ勝負は始まったばかりだが、ここでリードを許してしまっては後に憂いを残すことになるのは必至だろう。
 身体能力では劣っていても、戦略面ならばどうだ。美鈴と同時に飛び出しつつ、咲夜は思慮を巡らせた。

「くっ……、このっ……! ふざけるなッ!」

 物凄い勢いで蹴り飛ばされたレミリアは、黒い翼を大きく広げ、空中で体勢を立て直した。
 美鈴の一撃が気つけになったのだろう。精神的に疲弊していた様子は払拭され、捨てられた子犬のようだった表情にも力強さを取り戻す。
 しかし、未だに気は動転しているようで、不退転を掲げる吸血鬼にはあるまじき行動に打って出た。

「こんな薄情者どもと一緒になんていられるか! 私は部屋に戻る!」

 見事なフラグだと感心するがどこもおかしくはない。
 唯一無二の親友には謀られ、信を置いていた従者たちには手を噛まれ、そんな絶望的な状況に身を晒されては、部屋に引き籠って枕を濡らすことになっても致し方あるまい。
 しかし、それを許さないのが当の不遜の従者である。背を向けてこの場から逃げ去ろうとするレミリアに向かって、美鈴は声を大にして叫んだ。

「逃げる気ですか!? お嬢様!」
「あァん!?」

 ずばりその通りではあるが、他者に改めて事実を突き付けられるとどうにも癪に障るものだ。
 プライドの高いレミリアならばなおのこと。実に効果的な挑発だった。
 たった一言で怒り心頭に達したレミリアに、もはや退避の二文字はない。

「美鈴! 貴様、誰に向かってものを言っている!」

 怒号一声。床を蹴りレミリアに接近するべく跳躍した美鈴に対し、レミリア自身もそれを迎え撃つために宙を駆る。
 怒りに任せた直線的で御座なりな動きだが、吸血鬼のパワーはもはや別格。
 小手先の技術など度外視して余りあるポテンシャルを秘めており、いかに格闘技の達人である美鈴を以ってしても、一対一で正面からぶつかるのは分が悪い。
 ならば、レミリアが真っ向から迫ってきている現状をどうすればよいのか。
 簡単なことだ。美鈴はレミリアと肉薄する寸前に、声高に叫んだ。

「咲夜さん! 今です!」
「なにッ!?」

 ここにきてまさかの共同戦線。美鈴にヘイトを集めて、その隙に隠密行動の得意な咲夜を背後に忍ばせたか。
 しかし、何故。二人はポイントの争奪戦をしていたはず。
 だのに、美鈴の行動はみすみす咲夜にポイントを譲ることに他ならない。一体、どういうつもりなのか。
 しかし、今はその意図を考えている場合ではない。背後に咲夜が迫っていると言うのであれば、その対処をしなくては。
 レミリアは即座に振り返る。その瞬間だった、美鈴の不可解な行動、その意図を理解したのは。

「い、ない……?」

 振り返った先、咲夜がいるはずだったそこには、どころか誰一人として存在していなかった。
 ブラフだ。そこにいるはずのない咲夜の影をちらつかせ、意識を反らし、隙を作った。サシの勝負は分が悪いと踏んでの奇策、全く、そつのない。
 普段は温厚だが、勝負事に際しては手段を択ばないえげつなさも持ち合わせている美鈴の性格を思い出し、瞬時に答えに辿り着く。
 しかし、判ったところで後の祭り。今度こそ背後では本当に蹴りを放つべく足を振り被る美鈴がそこにいた。

「隙ありィ!」
「ぎゃんっ!?」

 美鈴の非情なる一撃がレミリアを襲う。空中で下半身を強打され、大きくバランスを崩したレミリアは、錐揉みしながら落下する。
 四肢の全てを使って落下の衝撃に耐えたレミリアの頭上には、赤い「2」の数字が点灯した。事実上の逆転である。
 このまま点差を引き離すべく、追撃を試みんとする美鈴。体勢を崩しているレミリアを見据え、宙を蹴る。
 その瞬間、驚愕に目を見開いた。美鈴の視線の先、レミリアの背後に、いるはずのない人間が、今度こそ本当にいたのである。

「お嬢様、お待ちしておりました」
「えっ――」

 美鈴よりも早く背後に回り込んでいたのは、他でもない、咲夜だった。
 まるで、その場所であらかじめ待ち受けていたかのように、否、実際に待ち受けていたのだろう。
 肉迫する二人の位置取りからレミリアが蹴り飛ばされた際にどこに落ちるのかを計算した上で、先回りしていたのだ。

 能力なしでは所詮人間の範疇を超えられない咲夜は、身体能力では美鈴に遠く及ばず、レミリアに対する接近手段も非常に乏しい。
 ゆえに、敢えて自ら攻めに出ることを放棄し、待ちに徹した。攻撃の隙は美鈴に作ってもらう。
 如何なレミリアと言えど、接近戦で美鈴を相手に他者に対して隙を見せない立ち回りなど出来はすまい。
 ならば、その隙を利用してやればいい、とそう考えた。
 有利とまではいかないが、圧倒的不利を対等以上まで引き上げる、これが咲夜が考え抜いて導き出した最適解。

 美鈴にばかり意識を向けていたレミリアは、背後に迫っていた咲夜の存在に素早く反応出来るはずもなく、無防備な背中を曝してしまう。
 気付いたときにはもう遅い。鞭のようにしなる蹴りが、レミリアに背後から牙を剥いた。

「そォい!」
「みぎゃっ!?」

 立ち上がった瞬間に尻を蹴り飛ばされた。臀部は脂肪が厚く、衝撃に強く出来ているため、彼女なりの気遣いだったのだろう。
 しかし、咲夜の配慮はともかく、やられた側は堪ったものではない。
 プライドの高い者にとって、尻を蹴られるなどと言う事実は、屈辱以外の何者でもないのだから。

「何のつもりだ、咲夜ァ!」

 自尊心を辱められ、レミリアは憤慨のままに腕を振るう。
 技術もへったくれもあったものではない、言うなれば単なる暴力に等しい攻撃だが、その一撃に秘められたパワーは常軌を逸し、触れただけでも人間の二、三人は簡単に殺傷たらしめるだろう。
 それは咲夜とて同じこと。レミリアの振るう、速く、鋭く、容赦のない攻撃は、しかし、咲夜にはかすりもせずに、ただ中空を刈った。
 タネを明かせば、レミリアの攻撃がヒットする前に時間を止め、射程範囲外に退避したのである。
 時間制御能力者ならではの完全回避。自己防衛と言う観点で順位付けをすれば、紅魔館において最も優れているのは他ならぬ咲夜であった。

「小生意気な! ちょこまかと!」

 ますます激昂するレミリア。
 落胆、驚愕、憤慨、絶望、様々な負の感情に支配されたレミリアの精神はもはやまともではあるまい。
 それだけに、付け入る隙は多分に存在していた。

 今度は咲夜にばかり気を取られているレミリアに、美鈴が強襲を仕掛ける。
 気もそぞろではまともな反応など出来はすまいが、相手は稀代の吸血鬼レミリア・スカーレット。
 遅れた反応は有り余る身体能力でカバーすればいい。

 肉迫すると同時に放たれた美鈴のローキックを、逆に足の裏で蹴りつけるように受け止める。
 カウンターが「2」のまま変動しないところを見るに、例え下半身に当たっても、ガードされたのであれば無効判定のようだ。
 妙に芸が細かいが、これはただのヒットカウンターではなく、レミリアをボコったカウンターなので、どこもおかしくはない。

「そう何度も不意打ちが通用すると――ぎゃうん!?」

 思っていたらしい。滲み出た涙でぼやける視界に映ったのは、蹴りの残身が美しい、瀟洒な姿のメイド長。
 美鈴の攻撃は見事に受け止めたレミリアだったが、ほぼ同時に迫り出していた咲夜の動きまでは読めなかったようだ。

 これにより、ポイントは「3」対「2」となり、今度は咲夜が先んじる。
 取っては取られ、取られては取り、互いの主張を賭けたシーソーゲームが、今、本格的に幕を上げた。

 ~少女フルボッコ中~

「三百九十――」
「――八ィィ!」
「ぎゃひん!?」

 前後からレミリアを挟む形で、美鈴のローキックと、咲夜のハイキックが炸裂した。
 強力な横方向への運動エネルギーは、レミリアの軽い体躯に、まるで風車のような横回転を強要し、やがて勢いが弱まると床に向かって力なくべしゃりと伏した。

「も……、やめ……、ぐす……」

 驚異的な再生力と不死性を併せ持つレミリアも、約八百発に上る蹴りを浴び続ければ、流石に心が折れるらしい、
 畏怖の権化もその姿はどこへやら。すっかり小さく丸まってぐずっている。
 咲夜と美鈴の猛攻はそれほどのものだった。特にレミリアにとって災難だったのが、二人で一人を狙うと言うルール。
 どちらかが攻撃をすれば、当たろうと当たるまいと、必ずそこに隙が生じ、もう一方がそこを突くことが出来る。
 咲夜と美鈴にその気はなくとも、勝負の内に奇しくも絶妙な連携が生まれていたのだ。
 元より息の合った二人である。即製の連携ではない。そんなもの、例えレミリアであろうとも凌げるものか。

 疲弊しきっているのは何もレミリアだけではない。咲夜も、美鈴も、あれからどれだけ競り合っているのか、随分と疲労の色が濃く見える。
 中でも美鈴が肩で息をするのは珍しい。よほどヒートアップした結果だろうか。
 息も絶え絶えな様子の二人。そんな中、美鈴が絞り出すような声で、咲夜に語りかけた。

「咲夜さん、勝敗が決する前に何ですが、私、自分の主張を変える気はありません」
「! 美鈴……、ええ、私だってそうよ」

 その言葉は途切れ途切れだったが、しっかりと芯を持ち、力強く、真っ直ぐで、絶対に譲ることの出来ない姿勢を確かと固持している。
 ポイントは互角。お互い譲れぬものがある以上、勝敗が決するまでこの戦いは続けねばならぬだろう。
 咲夜は体力の限界を予兆しながらも、覚悟を決めた。しかし、次の瞬間、美鈴が思わぬ言葉を発した。

「ですが、咲夜さんの主張も悪くはない、今ではそう思っています」
「…………!」

 それは、お得意の妥協でもなんでもない、本心からの告白。
 この競り合いの中で、咲夜の主張に何を見出したのか、美鈴は呼吸を整えるように、静かに語る。

「思慮深く、沈着冷静で、無駄なことを一切しない完璧な動き、それでいて胸の内には熱いものを秘めている。そんな咲夜さんを見ていて思いました。サ○ケ×イ○チも、悪くはない、と」

 なんだって?
 床に伏したままだったレミリアの耳に、ヨクワカラナイ言葉が飛び込んでくる。
 その名前は、外の世界からやってきた漫画に登場するキャラクターの名前だとは思うが、かける、ってなんだ?
 一体美鈴は何を言っている。よもや、そんな理解不能な主張のために、こんな暴挙に打って出たというのか。

 美鈴の独白を聞いて、レミリアは伏したまま目を白黒させる。まるで意味が判らんぞ。
 そんなレミリアとは対照的に、咲夜は疲労に伏していた顔を上げ、どこか燦爛とした表情で答えた。

「実は私もよ、美鈴。貴女の意外性溢れる突飛な行動、無謀にも思える思い切りの良さ、人を惹き付ける明るさも、どこか彼を見ているようで……、サ○ケ×ナ○トも、ありなんじゃあないかしら」

 こいつもか……。
 今度こそ、レミリアは考えることを放棄した。一体何だ、何なんだそのかけるって。なんかもう嫌だ。
 いずれは床と同化するのではなかろうかと言うほどぐったりとするレミリアを尻目に、咲夜と美鈴は既に和解モードに突入していた。
 全く以って腑に落ちないが、これ以上蹴られることもないのであれば、それだけで、もうなんでもいい。

 二人の会話を聞いて、事の次第が終決したことを悟ったのだろう。
 遠目から終始様子を眺めていたパチュリーが、席を立ち、寄ってきた。
 和解した二人は、そのきっかけを与えてくれたパチュリーに対し、深々と頭を下げる。

「パチュリー様、ありがとうございました。お陰様で、我々はほんの少しですが歩み寄れたような気がします」
「本当ですわ。パチュリー様はご聡明な御方。よもや、こうなることを予見して敢えてけしかけたのではないでしょうか」
「二人とも……」

 満面の笑みで謝辞を述べる咲夜と美鈴に、パチュリーは相も変わらずじとりとした無表情を向けた。
 そのいつも通りのはずの無表情に、しかし僅かに陰りが見えたのに気付いたとき、それは起こった。

 何やら短く唱えたかと思うと、その瞬間、パチュリーの存在感が何倍にも膨れ上がった。
 美鈴が得意とする気の力による身体の活性化に似たそれは、術者の身体能力を何十倍にも引き上げる強化魔法の一種。
 ただし、あまりにも効果が強力過ぎて、術者の肉体にかかる負荷も生半なものではない諸刃の剣であった。
 もうこれで終わってもいい、だからありったけを。そんな心中の言葉さえ聞こえてきそうな、底知れぬ覚悟。
 全身に凄まじい魔力を纏い、身体能力を際限なく底上げしたパチュリーが、二人を見据えて言い切った。

「私、サ○ケ総受け派なの」

 その言葉が起爆剤となった。穏やかさを取り戻していた咲夜と美鈴の両名の気勢が、爆発的に燃え上がった。
 怒りだろうか、哀しみだろうか、無念だろうか、もはや何ともつかない負の感情が、辺り一帯を包み込む。
 ただ一人、部屋の一角で地に伏して、何が起こっているのか判らず恐怖に慄いている吸血鬼がいたが、割愛しよう。

「パチュリー様! それはあんまりにも思考停止が過ぎます! 知識人として恥ずかしくないのですか!?」
「そうですよ! サ○ケを愛でるときは、誰にも身を委ねず、自由で、なんというか、救われてなくちゃあ駄目なんですよ!」

 抗議の嵐である。先のレミリアの抗議を微風とすれば、二人の猛抗はもはや局所的なハリケーンだ。
 しかし、そんな抗議も何処吹く風。パチュリーは右手を差し出すだけで二人を制すと、静かに言った。

「言ったはずよ。お互い譲れぬ主張があるのなら、言葉による争いは不毛だ、と。語るべく手段は他にある。さあ、続きを始めましょう」
「望むところです。パチュリー様、申し訳ございませんが、貴女の主張、退けさせて頂きます」
「この世に生きる全てのサ○ケ×イ○チ好きの方々の為にも、この勝負、負けるわけには参りません」
「上等。小娘二人が、年季の違いと言うものを見せてあげるわ」

 ぶつかり合う視線に火花を幻視するほどのプレッシャー。膨れ上がり、留まることを知らない気勢が周囲を圧迫する。
 三者三様の主張を述べ、お互いを睨め付け合った直後、全員の視線が一点へと集中した。

「レミィ!」
「お嬢様!」
「お嬢様!」
「ひぃっ!?」

 にじり寄る三つの影。己が主張を押し通さんとする三人が、その権利を求めて再び決起した。
 ルールは簡単。より多く、レミリアに蹴りを入れた者が勝ち。ただそれだけの、シンプルなルール。
 物言わず迫る三人が、やがて、その足を大きく振り上げた。

「いやあああああああああああああああああ!?」

 その日、紅魔館から子供の悲鳴が聞こえてくると通報を受けた博麗の巫女が駆けつけてくるまで、レミリアと、そして図書館に安寧の時間が訪れることはなかったのだった。



 終わり
本来ならおぜうの大逆転劇が描かれる予定でしたが、ページの都合上ごっそり削除させて頂きました。ご了承ください。
そのうちNARUTOが幻想郷で大流行SS書きたいな。
ネコ輔
http://twitter.com/nekosuke0312
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コメント



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4.274636指導員削除
レミリアが かわいそうでしょう!……いや自業自得か……
5.274636ナルスフ削除
こいつら最悪すぎるwwww
6.274636指導員削除
しょうもない理由でフルボッコにされるお嬢様かわいそうです
7.274636指導員削除
おもしろいなぁ